もともとは修行の旅であった四国八十八ヶ所、お遍路の旅は誰でも気軽にいけるようになりました。全国から出発するバスツアーが企画されているためです。関西だけでなく、関東発着のツアーも人気があります。
公認先達とは
多くのお遍路ツアーでは、公認先達さんが同行する場合が多いです。先達(せんだつ)とは、その道の先輩・案内者を意味し、お遍路の経験や知識が豊富な方を指します。そして、公認先達さんとは「四国八十八ヶ所霊場会」に公式に認められた先達なのです。
公認先達さんになるには条件があり、すべての札所を4回以上巡ることや八十八ヶ所のいずれかの札所からの推薦を受けることなどがあります。
公認先達さんを見分けるポイントとして、錫杖(しゃくじょう)があります。錫杖を持つ人は公認先達さんであることが多いです。公認先達さんに認定されると霊場会から朱色の錫杖をいただけるためです。
錫杖とは、僧侶や修験者の持つ杖で、頭部は錫(すず)で作り、数個の輪がかかっています。そのため、錫杖を突いて歩くと、「カシャンカシャン」という音が鳴りひびきます。
一般的なお遍路グッズとして木製の金剛杖があります。もちろん、木製の金剛杖を使う公認先達さんもいるので、必ず見分けられるわけではありませんが。
ツアーに公認先達が同行するメリット
四国八十八ヶ所は1200年を超える歴史があり、仏教や弘法大師のエピソードは奥が深すぎます。そのような知識は公認先達さんに聞くと、いろいろな情報を教えてくれます。何度もお遍路をする公認先達さんは、お遍路の歴史だけでなく、グルメや観光地情報なども豊富です。
個人的にお遍路をすると、このように経験豊富な先達さんに出会える可能性は低く、出会えたとしてもお話を伺う機会はほとんどありません。
ツアーに公認先達さんが同行するメリットはお遍路を深く知ることができることにあります。また、バスによるお遍路ツアーは観光だけでなく、巡礼の旅であるケースが多いです。そのため、すべての札所で読経を行います。
公認先達さんはツアー参加者を先導し、境内を移動します。本堂や大師堂の前で読経を行う際は、リズムをとってくれたり、読経をする場所を教えてくれたりします。多くの場合、ツアー参加者は公認先達さんの先導により、一緒に読経を行います。
札所内を移動したり、読経を行ったりすることに関して、作法がたくさんあります。お遍路や仏教寺院での作法を知らない場合は公認先達さんの真似をすれば全く問題ありません。
他の参拝者の迷惑になること
「郷に入っては郷に従え」というように、お遍路に無知であれば、公認先達さんや周囲の人と同じ行動をとった方がよいです。
なぜなら、お遍路の作法を知らなければ他人に迷惑をかける可能性があるからです。お遍路は観光だけでなく、篤い信仰心をもって訪れる人も多く、次のような目的でお遍路をする人がいます。
・病気治療祈願のため
・死者の供養のため
・合格祈願のため
このような人は功徳(くどく)を積み、ご利益を得ようとしています。功徳とは仏教的に善い行いの事で、賽銭や読経、ローソク、線香を備えることによって功徳を積むことができます。
そのため、他人の功徳を邪魔するような行動は、境内で迷惑行為としてとらえれます。例えば、次のような行動が他人の功徳を邪魔してしまいます。
・他人の読経中に鐘を鳴らす
・ローソクの火種に他人のローソクの火を使う
・他人の納札を無断でもらう
このような心配をするのが面倒な場合は公認先達さんと同じ行動をすれば、マナーのある参拝をすることができます。