仏像は経典に登場する仏の姿をリアルに表現する目的で作られた像です。こうすることでわかりにくい仏教典の内容を理解しやすくなりました。仏像の種類は多岐にわたり、姿やご利益も異なります。
仏像の中でも持国天(じこくてん)は四天王(多聞天、広目天、持国天、増長天)の一員として知られます。持国天のエピソード、仏像の見方、ご利益を順に解説します。
持国天のエピソード
天部とは
仏像を簡単に分類すると、如来、菩薩、明王、天部の4グループに分けることができます。それぞれに異なる役割があり、毘沙門天や持国天など○○天と名の付く天部グループに属す仏は、仏教の守護神としての役割があります。
如来や菩薩は優しい表情をすることが多いですが、天部はにらみを利かせた表情をし、武装しています。仏教界にこれは煩悩や邪魔者が侵入することを防ぐためにこのような姿をしています。
四天王とは
多聞天、持国天、増長天、広目天は四天王と呼ばれ、仏教の仮想世界である須弥山の四方を守る守護神として有名です。須弥山には様々な仏が住み、頂点には帝釈天が住むとされます。
四天王は須弥山という仏教の仮想世界を守る存在でしたが、後に釈迦の守護神や仏教その物の守護神として見られるようになりました。
四天王の中で多聞天(毘沙門天)は手に釈迦の遺骨を納めた塔(ストゥーパ)を持っていることは釈迦を守ることを意味するとされます。
また、寺院の四方や須弥壇(しゅみだん)の四隅に四天王が安置される場合があります。須弥壇とは釈迦三尊像を祀った壇で、須弥山のイメージを重ね合わせたことから名付けられたものです。
寺院や須弥壇を仏教の世界と考えると、四天王を周囲に安置することで、内部を守護したいという意図が伝わります。また四天王には担当の方角があり、次のように決まっています。
四天王 | 守る方角 |
持国天 | 東 |
広目天 | 西 |
増長天 | 南 |
多聞天 | 北 |
持国天
持国天の名前には「国を支えるもの」と言う意味が込められています。様々な武器を持ち、不思議なパワーを放つ宝珠を持つなどして仏教世界を守ります。
持国天の見方
四天王の特徴
・4体でバランスをとる
・邪気を踏みつける
四天王は東西南北を守る天部であるため、4体セットで安置されることが多くあります。その場合は、全体的なバランスが取れるように考慮されています。例えば、増長天が左手を上げると、反対側の持国天は右手を上げます。
また、煩悩の象徴である邪鬼を踏みつける四天王像も一般的です。足元をよく見ると獣のような邪鬼が踏み潰され、四天王の力で邪魔者が排除される様子が表現されます
持国天の特徴
・宝珠
・武器
持国天は右手に宝珠を持つことがあります。宝珠とは願い事を叶えてくれる宝石で、持国天が持つ宝珠には特殊なパワーがあるとされます。例えば、蛇毒を解毒したり、水をきれいにしたりする作用があるとされます。
他の四天王と同様に武器を持ち、甲冑を着ています。これは仏教界に侵入してくる邪鬼(煩悩)を排除するための道具です。
持国天のご利益
国家安泰・鎮護国家
四天王は仏教界を守る役割を担います。そこから発展し、国を守るというご利益が生まれました。中でも持国天は「国を支えるもの」というネーミングなので特に国家安泰のご利益があると考えられています。
毘沙門天などにも背中に丸い輪に炎の付いたものがついていますが、
名称は何というのでしょうか?
火焔光背と呼ばれ、煩悩を焼き尽くすための炎です。