四国八十八ヶ所を巡るお遍路、一生に一度は経験したいと考える日本人は多くいます。しかし、最近は外国からお遍路に来る人が増えています。

お遍路とは巡礼の旅で88の寺院を巡ります。これをすべて徒歩で達成する歩き遍路で外国人お遍路さんの増加が顕著にみられます。

私も歩き遍路の経験がありますが、出会った外国人お遍路さんの数は数え切れないほど多くいます。また、地元の方のお話を聞いても外国人が増えたと口をそろえます。道中にあるコメントノートを見ても日本語以外の名前が目立ちます。

日本の文化に触れる外国人は何を考えているのでしょうか。お遍路をする外国人の特徴から理解できるかもしれません。

バカンスや長期旅行で訪れる外国人は多い

海外では長期休暇を取りやすいため、休みを取って日本でお遍路をすることができます。特にフランスではバカンスという夏休みがあり、大人から子供まで数週間のバカンスを楽しめます。休みが長いため、歩き遍路をすることも可能となるのです。

やはり、休暇を取って八十八ヶ所を訪れる外国人は観光目的でお遍路をしています。トレッキング感覚で宗教的な意識はほとんどありません。

ただし、すべての外国人お遍路さんがノリノリで休暇を楽しんでいるわけではありません。職を失ったり、大切な人を亡くしたり、悩みがお遍路に向かうエネルギーとなった人もいます。

人種を問わず、すべての人を受け入れるお遍路は人々の心に癒しや成長を与えてくれると期待されています。

外国人お遍路さんは若い

お遍路をする日本人は高齢者が多く、歩き遍路は圧倒的に男性が多いです。20代のお遍路さんはほとんどいません。しかし、外国人お遍路さんは老若男女です。

チャレンジ精神が豊富な若者や、定年後の時間を一緒に過ごす夫婦、日本が大好きで休暇の旅に日本を訪れる人々に出会いました。

外国人お遍路さんはマニアック

世界レベルで考えるとお遍路の知名度は高くありません。現在は、世界遺産への登録で知名度が上がると期待されています。

日本の秘境でもあるお遍路の興味を持つ外国人はマニアックな知識を持っていることが多いです。特に、仏教や空海に関して良く知っています。

実際に、私は道中で出会ったマレーシア人のお遍路さんから弥勒菩薩について教えてもらいました。

“Miroku bosatsu is thinking for a long time.”

また、37番札所岩本寺の宿坊では、日本語が堪能でお経も読めるフランス人お遍路さんと夕食を共にしました。日本の地理・歴史に詳しく話が尽きませんでした。

サンティアゴ巡礼(カミーノ)

いま、海外では巡礼ブームと言われています。スペインの世界遺産であるサンティアゴ・デ・コンポステラ巡礼の巡礼者が急増しているからです。年間の巡礼者は20万人を超え、海外からの巡礼者もスペインを訪れています。

サンティアゴ巡礼はキリスト教の3大聖地である大聖堂に向かって歩きます。しかし、四国遍路と同様に宗教に関係なくキリスト教でない人も巡礼をします。スピリチュアルな何かを求めて歩いているのでしょうか。

サンティアゴ巡礼を経験した人は、四国にも同じような巡礼があることを耳にし、日本を訪れるというケースもあります。

サンティアゴ巡礼と四国遍路の異なるポイントとして歩き巡礼者の割合があり、サンティアゴ巡礼では歩き巡礼が最も多く、四国遍路は自動車やバスツアーが多いです。そのため、サンティアゴ巡礼に影響されてお遍路に来る外国人の多くは歩き遍路を経験しています。

東洋文化の魅力

東洋と西洋と分けられるように文化が全く異なります。特に、日本は四方を海に囲まれた孤島であり、200年間の鎖国により東洋文化が熟成されました。

明治維新で西洋文化を取り入れた日本は急速に欧米化が進み、当時は進んだ西洋と古い東洋というイメージが広がりました。日本人でさえ日本文化に疎くなっていましたが、完全に西洋に飲み込まれることはありませんでした。

東洋文化の断片として四国遍路や、その他の日本らしさが生き残ったのです。良いものだけが残ったと言えるかもしれません

ようやく、最近になって東洋文化にも良い所がたくさんあるぞ!と海外に認識され始め、西洋文化が積極的に東洋文化を取り入れようとする意識が見られるようになりました。

盆栽が海外でブームになったり、アップルの創業者スティーブ・ジョブズも禅を実践するようになったりしました。四国に飛び込んでくる外国人お遍路さんも日本文化を肌で感じたいと思っているはずです。