四国八十八ヶ所を巡る、お遍路に一生に一度は行ってみたいと思う人は多くいます。最近では旅行会社が企画する日帰りお遍路ツアーが人気となっています。
元々は弘法大師・空海を信仰する僧侶の修行の場であった四国遍路は、時代の流れに従って誰でも行ける観光スポットとなりました。そのため、観光バスに乗って快適に癒しを感じるたびに出かけられるようになったのです。
関西や中国地方からは日帰りでお遍路をすること約12回、つまり区切り打ちをして88ヶ所すべての札所を巡ることができます。ただし、高知県の足摺岬や室戸岬付近に行く場合は1泊2日のプランで行くことが多いです。
どのような日程でお遍路ツアーが組まれているのでしょうか。代表的な例を示しながら説明します。
お遍路ツアーはスピード重視
集合(7:00)―移動―(8:30)【82番根香寺】(9:00)―移動―(9:30)【83番国一宮寺】(10:00)―移動―(10:30)【84番屋島寺】(11:00)―移動―(11:30)【昼食】(12:30)―移動―(13:00)【85番八栗寺】(13:30)―移動―(14:00)【86番志度寺】(14:30)―移動―(15:00)【87番長尾寺】(15:30)―移動―(16:00)【88番大窪寺】(16:30)―移動―解散(18:00) |
ご覧のとおり、日帰りお遍路ツアーは札所を参拝とバス移動を繰り返します。1日当たり5~9ヶ寺のペースで巡るので、全行程は2週間程度となります。
ツアーでお遍路をする上で、最も重要なポイントは時間厳守です。札所の納経所は基本的に17:00になると閉まってしまうので、最後の札所に17:00前には到着しておく必要があるためです。
そのため、札所での自由時間はほとんどありません。お土産を買う時間も限られているでしょう。昼食についてはお店に立ち寄って食べるだけでなく、車内で弁当の場合もあり得ます。
つまり、観光バスで行くお遍路ツアーはスピード重視のお遍路だということになります。また、団体行動ができないと予定が狂ってしまう可能性があります。
お遍路ツアーでは丁寧な納経ができる
お遍路ツアーに参加したことがある人は、少し忙しいという感想を持つ方がいるかもしれません。しかし、本堂・大師堂前で行う納経は非常に丁寧です。
お遍路さんは各札所でローソク、線香、お賽銭、納札を供えて読経をします。これを本堂と大師堂でそれぞれ1回ずつ行います。
お遍路ツアーには添乗員さんの他に先達さんが同乗していることが多く、先達さんが読経をリードしてくれます。旅の安全を祈願して読経は道中のバスの中でも行われることもあります。
正式な読経は唱える回数、真言の種類など複雑なので、間違えたくないという人は先達さんのリードがあれば安心できます。また、ツアー参加者全員で声をそろえて読経ができるのは団体でお参りすることの特権でしょう。
お遍路には「やらなければならないルール」は存在しません。そのため、読経をしたくないという人は無理に読経する必要はありません。
札所やお遍路の説明
ツアーに同行する先達さんは、お遍路の経験が何度もあるベテランお遍路さんです。先達さんは札所の歴史や見所など豊富な知識をもってします。
参拝の途中やバスの中で解説してくれます。ただし、それぞれの先達さんで解説のポイントが異なったり解説の量に差があるかもしれません。
また、じっくりと解説をしていると時間が足りなくなってしまうので、隅々まで理解できるわけではありません。もし、お遍路について詳しく知りたい場合は図書館などで調べる必要があります。
お遍路ツアーの服装
お遍路に服装の規則はありません。しかし、白装束や金剛杖などの伝統的なスタイルはあります。お遍路グッズを身に付けて参拝するお遍路さんが多いです。
お遍路ツアーではほとんどのお遍路さんが白衣と輪袈裟を身に付けます。白衣は死装束を表し、道中で息絶えても成仏できるように、俗世を一度離れるといった意味があります。かつては厳しい旅だったことを考えさせられます。輪袈裟は僧侶が身に付ける袈裟の簡易版です。
金剛杖はバスに乗る際に添乗員の方に預けて一括して運んでもらいます。そのため、他人の金剛杖と間違ってしまわないように、金剛杖に名前を書くことをお勧めします。
納経帳・掛け軸・白衣への御朱印
お遍路では納経帳、掛け軸、白衣などに御朱印をもらうことができます。88ヶ所すべての札所で御朱印を集めると圧巻です。
ただ、バスツアーでは40人近い団体で御朱印をもらいに行くので時短のために、添乗員の方が一括して納経帳などを持って行きます。ツアー開始後に納経帳は御朱印の料金とともに回収されます。納経料金はツアー料金には含まれていないことが多いです。
1回の納経料金
納経帳への納経:300円
掛け軸への納経:500円
白衣への納経:200円