考えない人間が負ける

統計学者と長年の経験者はギャンブルに強い

第1回と第2回でギャンブルは長期的に見て勝てる人と負ける人がいるということを説明しました。ギャンブルには勝ち方と言うものがあり、それを実践している人だけが収支をプラスにすることができるのです。
パチンコ、スロット、公営競技がその代表であり、統計学や確率を考えると勝てます。
実は、ギャンブルで勝っている人は真面目な人が多いです。収支をきちんとつけて、冷静に判断しています。私も大学時代にパチンコやスロットで収支的にプラスでしたが、しっかり収支を付けていました。
また、何十年も競馬をやっている経験者は統計学を勉強しなくても感覚で選んだ馬が勝つ確率が分かるのです。それは、長年の分析の結果なせる業ですが、それには高い授業料を払っているはずです。
ビギナーや借金をしてまでギャンブルをする人は、「次は勝てる」と妄想しがちですが絶対に勝ちません。なぜなら、勝つ方法を知らないからです。あなたが支払ったお金は毎回、ギャンブルの主催者と勝ち方を知っている人に流れていきます。

負の原因を他者の責任にする

ギャンブルで勝てない人はその原因を自分ではなく他者のせいにします。例えば次のように考えることが多いのです。
・今日は運が悪かった(運と言う目に見えない者の責任)
・流れが悪い(流れと言う目に見えない者の責任)
・店が遠隔操作している(店の責任)
・ジョッキーが下手(他人のせい)
・ゲン担ぎをする(目に見えないパワーに頼る)
これらとあなたが負ける原因は一切関係ありません。負けの原因は100%あなた自身にあります。他人のせいにしている人は、なぜ自分が負けているか考えていません。対照的に、長期的にギャンブルで勝てる人は、なぜ自分が勝てるかを考え理解しています。
何も考えていないのは、動物的な本能に身を任せて行動しているのと同じです。考えない方が頭が疲れないので、外からの刺激に対してそのまま反応してしまい、パチンコ店やギャンブル主催者の戦略にハマっているのです。

動物的な本能

人間は動物です。そのため動物的な本能と言うものがプログラムされており、それに従って行動している部分もあります。性欲をイメージすると分かりやすいと思います。子孫を残すという生命の目的を達成しやすくプログラムされています。
人間の脳には「報酬系」と呼ばれる領域があり、報酬が期待される状況で活性化され、快楽や達成感をもたらします。性行為、食事、給料、他人からの称賛などに関係しています。
この「報酬系」は人間が生き延びるうえで重要な役割をしてきました。子孫を残す事、食事の獲物を捕らえること、他人から認められることなどを喜びとして絶滅を逃れています。
しかし、ギャンブルはこの報酬系に働きかけます。連チャンすると嬉しい、万馬券を取った時の快感が忘れられない。ということで報酬系が活性化され次もやりたいと思ってしまうのです。旧石器時代では獲物を仕留めて次もやりたいと思うのは全く問題ないですがね。
ただし、人間は理性を持つ唯一の動物だとされています。他の動物は理性を持たず、外界からの刺激に対してプログラム通りに行動しますが、人間は刺激を受けて行動するまでの間に考えることができるのです。
ギャンブルの事で悩んでいる人は、自分の状況や行動の原因をまず知る必要があります。ギャンブルについて勝組、負組がいること、心理学、脳内の働き、人生の短さ、新たな目標などを理解した上で理性に従って行動しなければなりません。
しかし、ギャンブル障害の度が過ぎると脳内の神経伝達物質の異常が生じ、アルコール依存症や薬物依存症と同じような症状につながる可能性があります。脳が変化してしまうのです。このような状態になってしまうと、理性が効かなくなる可能性が高くなるので治療が難しくなります。
今回は勝ち方を考えない人、負ける原因を考えない人、外からの刺激に本能のままに反応して考えない人はギャンブルでは負けるし、脳にも異常が生じるということが分かりました。