ギャンブル依存症の完全克服とは
一番苦しいとき
ギャンブル依存症は一生治らない病気と言われています。長期間にわたってギャンブルを繰り返すと脳の細胞レベルで変化してしまうためです。
「今日も行かなければ」と毎日思い続ける脳を、理性で抑えることは非常にエネルギーを必要とします。無理やり自分を抑え続けることは長く続きません。いつかストッパーが外れて再びギャンブルに行ってしまいます。
そのため、ギャンブル依存症の治療で入院しても、退院後ギャンブルに行ってしまうという患者さんは多くいます。
ギャンブル依存症の進行と回復を次のようにイメージしてみます。
ギャンブルに熱中している時期はギャンブルに行くほど病状は進行し、状況は悪くなる一方です。
入院によりギャンブルを完全にシャットアウトすることができます。しかし、完治したわけではありません。退院後は自分の判断でギャンブルから遠ざかることが必要になります。
この回復期が最も辛い時期です。そして長く続きます。
パチンコ店の広告、コンビニの雑誌、パチンコ番組などの誘惑は身の回りにあふれています。これを強制的に我慢するとストレスが溜まってしまいます。
ストレスをうまくコントロールしなければ再びギャンブルに行く原動力に変わってしまいます。
目指すは完全克服
上のグラフでは一応回復していますが、ゼロベースに戻るだけです。
この状態ではまだ、ギャンブルに憑りつかれていると言っても良いでしょう。つまり、努力によってギャンブルを我慢している状況です。少しの気の緩みがスリップ(再びギャンブルをすること)のきっかけとなるかもしれません。
目指すべきは完全克服です。
ギャンブルにハマっていた時期を忘れ去り、ギャンブルが自分から剥がれ落ちてしまい、努力しなくてもギャンブルをしたいと思わなくなることが完全克服と言えます。
グラフのイメージとしては次のようになります。
完全克服した状態では新しい目標や趣味などを見つけるなどして、ギャンブルを止めることに集中しなくても、ギャンブルから離れることができます。
ゼロベースに戻るだけではなく、新たに成長するという部分が重要です。
過去は気にせず、将来の目標に対するモチベーションを得ることができれば、ギャンブルを無理にやめようとしなくても頭の中から消え去っています。
歩き遍路で煩悩を捨てる
完全克服を目指すのに、歩き遍路は最適です。
四国の八十八ヶ所の寺院を巡るお遍路。昔は徒歩の旅で、修行の旅でもありました。自分を見つめ直したり、新たな価値観を発見することができます。
仏教では苦行と呼ばれる厳しい修行を行う風習があります。自分を困難な状況に置くことで、日ごろの悩み(煩悩)をくよくよ考えることから解放してくれます。
苦行を数多くこなすことにより、修行をしていないときでも煩悩を考えなくなれば「悟りの境地に至る」ということになります。
私は仏教徒ではありませんが、歩き遍路を体験しました。
歩き遍路では道中、考える時間が多いので新たな発見ができると思っていましたが、実際にやってみると何も考えることはできませんでした。
考えているのは、足が痛い、暑い、宿の予約、時間などです。お遍路に集中しているということが分かりました。この状態ではギャンブルの事も忘れることができます。
さらに、人との関係の中で多くの事を学びました。私は「お遍路は人生の縮図だ!」と思いました。
ギャンブルを忘れ、新たな学びを得ることができる旅が歩き遍路です。
あと一歩で回復と言う方、是非お遍路へ
歩き遍路を薦められるのは、「あと一歩で回復できそう」と思っている方です。
退院直後であったり、現金を持っていれば無条件でギャンブルに行くという人には修行の旅は、まだ早いと思います。
何年間もギャンブルを止められているが、ギャンブル依存症と言う病気に憑りつかれてしまっているという人は、ギャンブルに真っ向から抵抗するのではなく、新たな世界を見つけると良いでしょう。