遍路道とは
四国八十八ヶ所の札所は標高の高い山の中や岬の先端など都市部から離れた所に位置する札所があります。
お遍路にはルールが無いため手段やルートは自由です。ただ、昔から多くのお遍路さんが通った道に沿って歩くルートが残されており、「遍路道」と呼ばれています。
自動車の無い時代、お遍路さんは徒歩で参拝していたため遍路道として指定されている道の一部には細い山道が残されています。
そのため、全行程を歩いて巡る場合は、遍路道に沿って進むとお遍路さんしか通らないような細道を通ることになります。
空海も歩いた遍路ころがし
遍路道の中で最大の難所と呼ばれているルートに12番札所へ向かうルートがあります。この道は遍路ころがしとも呼ばれ、文字通りお遍路さんが転倒してしまうほど急峻で不安定な道です。
ただ、12番札所へ向かうルートはかつて空海が通った道がそのまま残っている遍路道だといわれています。そのためお遍路さんにも人気のルートです。
実際に遍路ころがしを歩く
遍路ころがしは11番札所の藤井寺の境内から始まります。2つの山を越えて焼山寺の境内が見えるまでずっと山道が続きます。その距離は12.9kmあります。
山道では歩くスピードは遅くなり時速2km程度になります。休憩時間なども含めて考えると焼山寺への遍路ころがしにかかる時間は「健脚5時間、平均6時間、弱足8時間」と言われています。
人が二列になって歩けないほど細く、転倒しやすい坂道を進むことは疲労だけでなくストレスもかかります。また途中に休憩できる場所は数ヵ所と限られ、当然店や自販機はありません。
そのため四国八十八ヶ所の中で最難関だといわれています。遍路ころがしと呼ばれるルートは12番札所へのルート以外にも数ヶ所ありますが、12.9kmとこのルートが最長です。
遍路ころがしの準備
通し打ちでお遍路をする場合、最大の難所である遍路ころがしは旅の序盤に登場します。1番札所からの距離は40km程度なのでお遍路3日目には遍路ころがしに挑戦することになります。
不安な気持ちは誰しも抱きますが、ここを乗り越えなければ先には進めません。アスファルトで舗装された道もありますが11番札所から12番札所まで40kmと遠回りになってしまいます。
そこで、遍路ころがしに挑む前に以下のことに注意しておきましょう。
・無理をしない
・朝早く出発する
・宿を確保する
・金剛杖、菅笠、長袖で肌の露出を控える
1.無理をしない
遍路ころがしでは途中棄権が難しいです。体調の悪化により中断しようと思っても宿やバス停は存在しません。途中で引き返そうと思っても、再び険しい山道を下らなければなりません。そのため、遍路ころがし前に不調を感じたら宿に連泊するなど体調が整うのを待ちましょう。
2.朝早く出発する
山道で最も危険な行為は日の入り後に歩くことです。街灯は一切なく、道も細いため遭難の危険性があります。そのため日が暮れる前に宿に到着できるように計画をしておきましょう。
また、木々が生い茂り起伏が多いために山の日暮れは早いです。そのため十分余裕を持った計画が必要です。
3.宿を確保してから出発する
朝から遍路ころがしを歩いて6~8時間で焼山寺に到着します。そのため、焼山寺の宿坊や焼山寺の周辺にある民宿に泊まるお遍路さんが多いです。
春や連休のお遍路ハイシーズンでは相部屋でも満室となることがあるため出発の前に宿を確保しなければなりません。
4.金剛杖、菅笠、長袖で肌の露出を控える
山道ではハチ、毛虫、マムシの被害に遭う可能性が高まります。途中で怪我をしてもタクシーなどを呼べる道ではないので、怪我を予防することが重要です。
金剛杖は自分の前について歩くことでマムシに咬まれることを予防できます。菅笠は上部からハチや毛虫に襲われることを防止します。また、暑くても長袖を着て肌の露出を控えましょう。