四国八十八ヶ所霊場を巡るお遍路は自動車の普及や道路の整備により簡単に巡れるようになりました。
昭和より前の時代ではお遍路さんは基本的に歩いて八十八ヶ所の札所を参拝しなければなりませんでした。また、コンビニや自販機は存在しないので、かつては旅というより修行に近いものでした。
そのため、お遍路の道中で命を落とすケースもあり、遍路墓や札所の記録として現在まで語り継がれています。
現在も少数ながら全行程を歩いて巡るお遍路さんがいます。しかし、かつての遍路道と現在の遍路道は完全に一致するわけではありません。その証拠に、現在の歩き遍路では全行程の90%近くがアスファルトで舗装された道で、トンネルや橋を何度も通ります。
大きな山や川は徒歩で行くお遍路さんの障害となりますが、トンネルや橋のおかげで苦難を感じずに通り抜けることができます。しかし、トンネルには車が通っており事故の危険があります。そこでトンネルを通る際は注意しながら歩かなければなりません。

 


トンネル内は歩道を通る
お遍路道は国道や県道など、交通量の多い道沿いを通ることがあります。そのため、歩くお遍路さんに配慮してトンネル内に歩道が整備されているところがあります。トンネル内に歩道がある場合は必ず歩道を歩きましょう。
歩道がない場合は右側通行
ただし、すべてのトンネルに歩道があるわけではありません。狭い路側帯を歩いてトンネルを通り抜ける場所もあります。
地元の人であればお遍路さんがトンネルを歩いて通っていることは当たり前ですが、県外からの観光客はトンネル内を歩いている人がいることは想定外です。そのため、歩行者優先と言えども歩行者自身が気を付けて歩かなければなりません。
歩道がないトンネルを通る場合は右側通行を心がけましょう。なぜなら、対向車を自分の目で確認することができるからです。
右側通行によって、大きな車やスピードのある車が近づいてくると立ち止まり、壁に近寄ることができます。一方、左側通行では後ろから車が近づいて来るため注意力が低下します。
金剛杖に注意
事故によるけがに注意することはもちろんですが、トンネル内では金剛杖が車に接触して車を破損させる可能性があります。
大きな車やスピードのある車が近くを通過すると車の方向へ引き寄せられるような風が吹くため、木製の金剛杖は風に流されてしまいます。そのため、トンネル内では金剛杖を両手で持ち、車道にはみ出さないように気を付けましょう。
白衣や反射板で自分の存在を知らせる
薄暗いトンネル内では運転手から歩行者は見えにくくなります。なるべく目立つ服装をすることで事故を未然に防ぐことができます。
お遍路衣装である白衣は比較的見えやすい格好です。一方、暗い服装ではトンネルの風景と同化して運転手から見えにくくなります。
リュックなどに軽い反射板を付けるなどして自分の存在を運転手に知らせましょう。