仏像とは、仏教の信仰対象である仏の姿を見えるようにするために作られた像です。仏像の種類は様々で、姿やご利益も異なります。仏像の中でも仁王尊(におうそん)金剛力士(こんごうりきし)とも呼ばれ東大寺の南大門で有名です。
仁王尊のエピソード、仏像の特徴、ご利益を順に理解していきましょう。

仁王尊のエピソード

天部とは
仏像を簡単に分類すると如来、菩薩、明王、天部の4種類があります。それぞれに特化した役割があり、人々が悟りに至ることをサポートします。
如来、菩薩、明王は人々に教えを説いたり正しい道へ導いたりする仏様です。一方、天部に分類される仏様はガードマンとしての役割を担います。悟りへの修行を邪魔するものを排除するのです。
仁王尊はガードマン
寺の入り口には仁王門があり、門の中に仁王尊が配置されていることが多いです。ムキムキマッチョな仁王尊は金剛力士とも呼ばれ、寺に侵入しようとする悪者を力尽くで排除します。東大寺の南大門にある金剛力士像が有名です。
通常、仁王門には2体の仁王尊が左右に並び、力を合わせて寺を警備しています。片方は口を開けた阿像(あぞう)、もう一方は口を閉じた吽像(うんぞう)が一般的です。
阿吽の意味
寺の門番をしている仁王尊は「あ」と口を開いている阿像と「うん」と口を閉じている吽像がペアとなっています。向かって右に阿像、左に吽像が配置されています。
阿像は寺に侵入する悪者に対して、声を上げて怒りを表しています。一方、吽像は言葉を発せず怒りを内に秘めた様子を表しています。

仁王像の特徴

・上半身裸
・腰に布を巻く
・阿吽の口
・金剛杵を持つことがある
仁王像の上半身は裸で、筋骨隆々の体を見せつけるように堂々と立っています。胸のあたりにネックレスのような飾り物を付けていることもあります。
腰に裳(も)という布を巻いています。仁王像を見る際は、波打つように彫刻された裳も注目ポイントです。
阿吽の口は物事のはじめと終わりを表すと言われています。また、2体の仁王像の息がぴったり合っていることから、「阿吽の呼吸」と言う言葉が生まれました。
奈良時代以前に作られた仁王像は手に金剛杵(こんごうしょ)という武器を持っていることがあります。古代インドで最強の武器とされた金剛杵は密教に取り入れられ、魔物を降伏させるための道具として使われるようになりました。

仁王尊のご利益

寺を守り、寺院が栄えるというご利益があります。我々に関係するところでは、健脚、身体健全のご利益があるとされています。走るのが速くなりたければ、東大寺の南大門に出かけてみるのもよいかもしれません。