野宿をする場合に野犬に遭遇することがあります。野犬に噛まれると大けがをする場合もあり、野犬は時に群れで襲ってくるため非常に危険です。野犬対策としてポイントを紹介します。

野犬との遭遇を防ぐ

屋根と壁のある所で寝る

野犬対策として最も有効な方法です。野犬が侵入できない所で寝るようにしましょう。お遍路の場合は善根宿、駅の構内が良いでしょう。屋根だけの遍路小屋、廃墟では野犬が侵入してくることがあります。

山間部は宿

野犬は山間部に多く生息しています。また、野犬に噛まれた際に山間部では対応が遅れます。なぜなら、怪我を処置できる医療機関が少ないためです。携帯の電波が通じない可能性もあり危険です
春や秋といったお遍路のハイシーズンでは宿の予約が取れずに野宿を強いられる可能性もあります。特に山間部で野宿を強いられた場合はバスやタクシーで移動してでも宿に泊まることをお勧めします。

 テントの持参

全日程を野宿でお遍路をする人もいます。そのような人の多くはテントをもってお遍路をしています。テントがあれば野犬に襲われる危険性は下がりますが、荷物が重くなるというデメリットがあります。

野犬に遭遇したら

逃げたら襲われる

逃げるということは自分が弱い立場にあることを野犬に伝えることになります。また、走って逃げても追いつかれて襲われてしまいます。そのため、野犬に遭遇した際は逃げずに向き合ってください。
そして、向き合ったまま徐々に距離を広げて行きましょう。金剛杖や菅笠などで自分の体を大きく見せると野犬を威嚇できます。しかし、必ずしも野犬との距離を広げられるとは限りません。急に襲ってくる場合もあります。

野犬と戦う

野犬が襲ってきたら身を守るために戦ってください。このとき、背後から襲われることを防ぐため、壁を背にできるポジションへ移動しましょう。高い場所に上ることができればさらに良いです。
そして金剛杖で襲い来る野犬を攻撃します。このとき、金剛杖は両手で突いて攻撃することがポイントです。上下に振り下ろして叩く場合は力が伝わりにくく、金剛杖が折れる可能性があります。

野犬に噛まれたら

傷口を消毒

傷口の大きさにもよりますが、なるべく消毒をしてください。野犬はヒトに感染性のある病原菌を運んでくる可能性があるためです。水で洗い流し、消毒液をかけるなどの対処になります。

必ず医療機関へ

犬にかまれたら必ず医療機関を受診してください。小さな怪我でも感染症の可能性があります。

破傷風の危険

野犬に噛まれることで病原菌が体内に侵入して感染症を起こすことがあります。そのうちの1つに破傷風という感染症があります。致死率は約40%と高く、日本では年間に100人が亡くなっています。
破傷風は土壌に存在する破傷風菌が感染することで起こります。そのため、傷口に土や犬の唾液が付着していると危険です。また、オキシドールなどの消毒液では菌が死滅しないこともあります
多くの方は三種混合ワクチンという形で破傷風の予防接種を既に受けていますが安心はできません。ワクチンの効力が徐々に落ちてくるためです。
また、三種混合ワクチンを接種していないという場合もあります。三種混合ワクチンは1968年に定期予防接種が開始されたためです。1968年以前に生まれた方は要注意となります。