四国八十八ヶ所を巡るお遍路の旅は1日ではすべて完了することはできません。88の札所は四国の海沿いを1周するように配置されているためです。
歩き遍路では1100km、車遍路では1200km程度移動しなければなりません。そのため、お遍路の日程は次のようになります。

手段

所要日数の目安

歩き遍路

40日

車遍路

10日

四国八十八ヶ所をすべて巡る場合は宿泊地について考える必要があります。お遍路では次のような宿泊所があります。


▽有料の宿
・遍路宿
・宿坊

▽無料の宿
・善根宿
・通夜堂
・野宿


お遍路で利用する宿

遍路宿
お遍路さんが利用する宿は「遍路宿」と呼ばれています。誰でも宿泊できる遍路宿、お遍路さん以外は泊まれない遍路宿があります。そのため、予約の際に尋ねるとよいでしょう。
お遍路では街から離れた山奥の札所に行ったり、岬の突端に位置する札所に行ったりします。このような人口の少ないところには宿が少ないため、お遍路のハイシーズンでは予約が取れないことがあります
お遍路は春と秋にハイシーズンとなります。また、ゴールデンウィークのような連休でも予約が取りにくいことがあります。また、相部屋もあり得ます。実際に私も相部屋で宿泊したことがあります。
相部屋となれば他人の迷惑にならないように気を使わなければなりませんが、話をするという楽しみがあります。なぜお遍路に来たのか、明日はどこまで行くのかなど話題は絶えません。
コンビニや自販機のない山奥の遍路宿では翌日の昼食用におにぎりを持たせてくれるところもあります。特に歩き遍路をする際には遍路宿は必須です。
 
宿坊
宿坊は札所にある宿泊施設です。宿坊といえども通常の旅館とほとんど変わりません。場所によって誤差はありますが、個室、アメニティー、食事など充実しているところが多いです。
宿坊の特徴としては、朝のお勤めが聞ける事があります。朝起きて、お遍路に行く前に教訓的なお話を聞くことができます。
宿坊の注意点として、ツアーの団体客しか受け入れない所もあります。予約する際に確認しておくとよいです。

無料宿

善根宿(ぜんこんやど)

お遍路さんをサポートするために地元の人が宿泊できる場所を善意で提供しているところがあります。このような場所は善根宿と呼ばれています。
善根宿は管理をしている人がいるので、勝手に泊まることは控えましょう。宿の管理人に連絡を取って宿泊の許可を得てから利用しましょう
地元の人はお遍路さんのために無料で善根宿を提供していますが、管理費がかかっているはずです。そのため、善根宿を利用した際には最低限のマナーと感謝の気持ちが重要です。出発の前には掃除をしたり、納札を渡したりするとよいです。
通夜堂(つやどう)
お遍路さんのために八十八ヶ所の札所、別格札所などの寺院が宿泊できる場所を善意で提供しているところがあります。このような場所は通夜堂と呼ばれています。
通夜堂は八十八ヶ所の札所、別格札所などの境内にある建物の一角にあります。ほとんどの場合は屋根と毛布がある程度です。通夜堂は寺院で管理されているため、許可を取ってから利用しましょう
四国の寺院はお遍路さんのために無料で通夜堂を提供していますが、管理費がかかっているはずです。そのため、善根宿を利用した際には最低限のマナーと感謝の気持ちが重要です。出発の前には掃除をしたり、納札を渡したりするとよいです。
無料の宿泊所に期待しない
お遍路では善根宿や通夜堂のように善意で提供している宿泊所がいくつもあります。このような無料宿泊所は正直に言うと寝心地はよくありません。
もしかするとダニがいたり、寒すぎて眠れなかったりするかもしれません。しかし、屋根があるだけでも野宿をするより安心感は大きいです。
思いやりの気持ちが大切
無料宿を利用する場合は常に思いやりの気持ちが必要となります。夜中に泊めてくれと管理者に電話をしたり、宿を汚して放置したりすることは管理者の善意に反します。
また、車や自転車でお遍路をしているなら無料宿の利用は控えた方がよいでしょう。なぜなら、自分よりも後に、1日中歩き続けて宿が見つからなくて困っているお遍路さんが来るかもしれないからです。

お遍路の宿泊に関する注意点

早着・早出を心がける
お遍路では宿に早く到着して、朝は早く出発すると効率よく巡ることができます。
お遍路の札所は山奥や人気のない場所にある場合があります。そのため、悪路が多く夜間の運転や歩行は危険です。そのため、日没より前に宿に到着することが理想です。
また、気温の低い早朝から行動することで熱中症を防いだり、寝つきがよくなったりします。お遍路を回るには毎日連続して運転したり歩いたりしなければなりません。
そのため、健康管理が重要です。早寝早起きのリズムを作り体調を崩さないようにしましょう。
野宿はなるべく避ける
お遍路のハイシーズンでは宿の予約が取れないことがありますが、野宿は避けた方が賢明です。もし、当日に予約が取れない場合、野宿の準備をしていなければタクシーを呼んで空いている宿に泊まることをお勧めします
なぜなら、野宿はリスクを伴うからです。
▽野宿で発生しうる問題
・十分眠れない
・夜間の冷え込み
・貴重品の管理
・野犬
・害虫
・いたずら
・近隣住民の迷惑となる
など
もし野宿をするのであれば、寝袋等を準備した状態で行いましょう。準備不足での野宿は危険が増します。