四国八十八ヶ所お遍路:73番札所 出釈迦寺で大師の自殺未遂
四国には弘法大師ゆかりの寺を巡るお遍路があります。お遍路をしていると、お寺だけでなく文化や伝説が地元に根付いていることが分かります。
お遍路文化の代表は「お接待」です。お遍路さんに無償で食べ物や飲み物などを差し上げること。また、お遍路の伝説の多くは弘法大師に関係しています。
お遍路はただ巡るだけでなく、このような伝統もセットで楽しめます。
さらに、お遍路の中に残る伝説は、弘法大師の超常現象を語っているのではなくメッセージが込められていることが分かります。その教えは現代でも使え、人間関係、家族関係、ビジネスなどにも応用することができます。
弘法大師が生きた時代から約1200年以上経ち技術の発達で手段は変化しましたが、人間のマインドは何も変わっていません。
お遍路に来る理由として「自己鍛錬」や「自分探し」を挙げる人が多いということも納得できます。
出釈迦(しゅっしゃかじ)で大師の自殺未遂
弘法大師(空海)の生まれ故郷である香川県善通寺市にある73番札所、出釈迦寺では次のような伝説が語り継がれています。
大師が7歳の時、仏門に入ることを決めました。その決意を成就させるために標高481mの山から断崖絶壁を飛び降りたのです。
大師は崖の上で「私は仏門に入り、仏教を広めて多くの人を救いたい。もし願いが叶うなら命を助けよ、叶わないなら死んでしまおう。」と言って身を投げました。
すると、釈迦如来と天女が雲の間から現れて大師の命を助けたのです。
大師は、この飛び降り自殺未遂を1回では飽き足らず3回も行いましたが、全て釈迦如来と天女に助けられたと伝えられています。
大師が身を投げた崖は、捨身ヶ嶽(しゃしんがたけ)と言われるようになりました。出釈迦寺から2km歩くと捨身ヶ嶽禅定という奥ノ院があり、そこからさらに険しい山道を100m登ることで捨身ヶ嶽に行けます。
教訓
弘法大師やお遍路にまつわるエピソードから多くのことを学ぶことができます。今回の教訓は「死ぬほど本気の決意を持って挑戦せよ」ということです。
死ぬほど本気と言っても、何か決心したら崖から飛び降りろと言っているわけではありません。大師が実際に飛び降りたかどうかは分かりませんが、今私たちが実践すると確実に死にます。
弘法大師はこれ程まで本気だったために厳しい修行をし、中国で仏教を学んで日本で広めるという偉業を成し遂げることができたのです。
現代では起業をする時、受験勉強をする時、スポーツ選手として大会に出る時、科学者の実験、どんな場面を考えてみてもトップの人たちは本気度が違います。
生半可な決心や努力で、世界を変えようとか金儲けをしようとか思っている人。悪い言い方をすれば口先だけの人や妄想ばかりで行動できない人はもっと死物狂いになった方が良いのかもしれません。
もし、何か新しいことにチャレンジするのであれば頭の中で崖から飛び降りる想像をしてみてください。そして自分の本気度を意識することができるはずです。