歩き遍路をする場合は「四国遍路ひとり歩き同行二人[地図編]」を見ながら歩く人が多いです。この地図には昔ながらの遍路道が記載されているので、歴史ある道を通ることができます。
ただし、遍路道として記載されているルートは1つだけではありません。山道を迂回するルートや国道を通るルートなど選択肢があります。
その中でも、徳島県の22番札所平等寺から23番札所薬王寺まで歩くルートに由岐経由(ゆきけいゆ)と呼ばれるルートがあります。このルートを選択することで写真のようなきれいな海岸沿いを歩くことができます。
国道経由と由岐経由
平等寺を出発して6.4km地点に分岐点があります。一方は国道経由、もう一方は由岐経由となります。
国道経由の方が3km程短いですが、山間部を通る道なので食事やトイレには不便です。また単調な山の景色が続きます。
由岐経由は距離がやや長くなりますが、由岐(ゆき)、木岐(きき)といった小さな街を通るので安心できます。そしてお遍路をしていて最初に海が見えるルートでもあります。
リアス式海岸
由岐経由で通るルートはリアス式海岸という地形がみられます。山地からすぐに海になるような地形で入り江がたくさんあります。
晴れた日にはエメラルドグリーンの海と綺麗な砂浜、そして緑の山という風光明媚な景色を楽しむことができます。
リアス式海岸といえば注意しなければならない事が1つあります。それは津波被害が大きくなるということです。大地震が起きて津波が発生しリアス式海岸の入り江に進むにつれて波が1点に集中するため波が高くなります。
東日本大震災で甚大な被害を受けた気仙沼や女川もリアス式海岸で有名な土地でした。四国では100年から150年の周期で訪れる南海トラフ大地震の発生が懸念されています。
また、由岐には津波被害を伝える石碑として日本で最古のものが残されています。最古の石碑は650年前の津波の被害者の供養碑です。