「類は友を呼ぶ」の裏の意味:社会的証明の原理

多数派に手を挙げてしまう愚かさ
人間は他人の行動を参考にして物事を判断する習性があります。多数決を取るとき、周りの人が手を挙げるのを見て流れに従ってしまいます。逆に、少数派が自分だけと言う場合なら自分が間違っているのかと、不安な気持ちになってしまいます。
このように、他人行動に自分の行動が影響されてしまい、他の人に合わせていれば間違いないと思ってしまうことを社会的証明の原理と言います。
・行列のできる店はおいしいと思う
・口コミを信じて店を探す
・駅で出口が分からないときは、とりあえず人について行く
これらはすべて多数派の意見に自分の意見を合わせてしまうという社会的証明の原理に当てはまります。
「類は友を呼ぶ」の裏の意味
小学生でも知っている諺の「類は友を呼ぶ」。似た者同士が自然と集まるという意味ですが、社会的証明の原理を知ると裏の意味が分かってきます。
社会的証明の原理とは、多数派の他人の行動が正しいと思い込んで行動してしまうというものでした。他人の行動が本当に正しいのか分からなくても、他人と同じ行動をとることで安心してしまいます。
加えて、気の合う者同士でずっと集まっていると、互いの類似性がさらに増していくのです。これが「類は友を呼ぶ」の裏の意味です。類友でしばらく経過すると互いの考え方や行動に影響され、自然に集まった時より似た者同士になっていきます。
社会的証明の原理は本能的にしみついています。それは、他人と同じ行動をすることが一番無難な選択だと刷り込まれているためです。
しかし、いつも他人と同じ行動をしている人は単に普通の人で一生を終えてしまいます。どうすれば他人から一目置かれるような独自性のある人になれるのでしょうか。
社会的証明の原理を逆手に取る
周りと同じような行動をしてしまう人間の性質を利用することができます。それは、自分とは違う有能でエネルギーに溢れた集団に飛び込んでみるということです。
無理やりにでもレベルの高い集団に入ってしまうことで、他の皆がとる行動に影響され自分も感化されるのです。良い意味で影響され、視野を広げることができます。
特に私は大学生に伝えたいです。義務教育や受験を終えて同じ学部に集まってくる人間は、ほとんど似た考えを持っており偏っています。その集団に浸かりすぎると狭い思考に陥る危険性が高いのです。
 
視野を広げたければ歩き遍路
弘法大師の修業をたどるお遍路があります。四国を巡る全行程1200km前後の旅です。これを歩いて行くという人はかなりレベルが高い人です。
多くのお遍路さんは1番札所から88番札所に向かって歩くため、道中では他のお遍路さんと話しながら行くことができます。前述の通り、同じお遍路姿で同じ方向に歩いている者同士は安心感が生まれるため簡単に打ち解けることができます。
私も学生時代に歩き遍路で企業の社長、世界中を旅するバックパッカー、多くの外国人といった普段会うことすらできない方々と濃い話をすることができました。
歩き遍路をする集団と社会的証明の原理を働かせることで、新たな世界が見えるかもしれません。