お遍路さんは皆幸せ
四国八十八ヶ所を巡るお遍路の旅には1200年の歴史があり、多くの人に心の安らぎや成長を与えてきました。
お遍路は単なる観光スポットではなく様々な思いを抱えて参拝するお遍路さんもいます。例えば、ご利益を得たい人、癒しを求める人、病気を治したい人、罪を懺悔したい人などです。
しかし、どれほど悩み苦しんでいる人でもお遍路をしている人は幸せなグループに入ることを忘れてはなりません。旅をすることは健康で、金銭的にも時間的にも余裕がなければ難しいからです。
世界70億人を考えると、旅に出る余裕のある人はどれほど恵まれているでしょうか。アフリカでHIVに感染する子供たち、戦地で戦わなければならない人々、病床に伏す人々…。
与えられ続ける旅
幸せな人のみ行くことを許されたお遍路に実際に行くと、お遍路さんは更に与えられ続けます。
「お接待」という文化が四国には根付いており、地元の人はお遍路さんをサポートするためにお茶やお菓子を無償で提供します。
お接待だけではありません。歩いてお遍路をする人のために山道の草を刈り、道を整備する人がいます。また、道に迷わないように道標を設置する人もいます。
お遍路をすると、目に見えない所で多くの人がお遍路さんのために力を貸してくれていることに気づきます。
しかし、これはすべての事に当てはまります。ご飯を食べるときも料理を作る人、材料を育てる人、運搬する人、数えきれない数の人が携わっていますが、金儲けが第一主義となっているため有難さが伝わりにくくなっています。
そこで、四国に来ると本当に自分のために力を貸してくれているという人々の心に直接触れることができます。そこから、見えない所で多くの人が自分に対して恩を与えてくれていると気づくのです。
その証拠に、八十八ヶ所をすべてめぐって参拝した人々の口からは「感謝」「ありがたい」という言葉があふれ出ています。
恩返しをしたいと思ってしまう
四国ではお遍路さんは偉い、修行や努力をする人々だというイメージがあり尊敬されています。しかし、お遍路さんはお接待を受け、親切にしてもらうだけで何も返すことができません。
恩を受けるほど、うれしい気持ちを通り過ぎて、申し訳ない気持ちが蓄積し、何か恩返しをしなければという気持ちが現れてきます。
自分が不幸だ、運がないと思う人は溢れるほどの恩を四国で受けることで、自分が幸せだと実感できます。また、その恩を他の人に返すことで幸せの連鎖が続いていくでしょう。