お寺に安置されている仏像には様々な種類があります。表情や持ち物など仏像によってそれぞれ異なり、意味が込められています。また、得られるご利益も異なってきます。仏像の中でも、阿弥陀如来(あみだにょらい)は法然の浄土宗や親鸞の浄土真宗で本尊とされている仏像です。
如来と名付けられた仏像は既に悟りを開いているという設定なので、仏像の中でも最高位にランク付けされます。主な如来には釈迦如来、薬師如来、阿弥陀如来、大日如来などがあります。
阿弥陀如来のエピソード、仏像の特徴、ご利益を説明します。
阿弥陀如来のエピソード
阿弥陀如来は極楽浄土から迎えに来る
如来の一種である釈迦如来は実在したブッダをモデルとした仏像ですが、そのほかの仏像はすべて空想上の仏をモデルとしています。阿弥陀如来のモデルは一国の王様という設定でした。
はるか昔、一人の国王が仏の説法を受けて感動しました。そこで自分も仏になろうと決心して法蔵菩薩と名乗り、長い修行を始めました。修行を終えた法蔵菩薩は悟りを開き、阿弥陀如来となることができました。
そして、阿弥陀如来は極楽浄土という世界を作りました。極楽浄土は西のはるか彼方に存在し、きらびやかで、音楽が流れ、住み心地の良い所です。また、阿弥陀如来が説法をそしています。人間が死んだあと、極楽浄土で修業をすれば仏になることができると言われています。
では、どうすれば極楽浄土に行けるのでしょうか?
阿弥陀如来を本尊とする浄土宗や浄土真宗によれば、「南無阿弥陀仏」を唱えれば、死後誰でも極楽浄土に行くことができます。南無阿弥陀仏とは阿弥陀如来をひたすら信仰しますという意味です。
「南無阿弥陀仏」によって簡単に浄土に行けるという教えは平安時代、鎌倉時代にかけて人気が上昇し阿弥陀如来信仰が盛んになりました。そのため、現在も寺や信徒が多く、国内の仏像の2~3割が阿弥陀如来像と推定されています。
生前、南無阿弥陀仏を唱えて仏教的に善い行い・功徳を積み重ねた人には臨終の際に阿弥陀如来が自ら迎えに来てくれます。これを来迎(らいごう)と言います。功徳が多ければ多いほど来迎は豪華になり、最高ランクの来迎では25人の菩薩を引き連れて音楽を奏でながら迎えに来てくれます。
仏像の見方
如来像の特徴
・白毫(びゃくごう)
・螺髪(らほつ)
・蓮華の台座
釈迦如来や薬師如来など如来と名の付く仏像には共通する特徴があります。白毫(びゃくごう)は眉間の間にある毛で、右巻きに巻かれています。白毫から放たれる光が世界を照らします。
また、如来の頭はブツブツの螺髪と呼ばれる髪型になっています。菩薩や明王には見られなません。さらに、如来は蓮華の台座に乗っていることが多く、その仏像が綺麗な巣の上の世界にいることを表します。
阿弥陀如来の特徴
・印相
・観音菩薩と勢至菩薩
阿弥陀如来だけの特徴としては印相(いんそう)という手の形にあります。阿弥陀如来は指で輪を作っているので、手の形を見ると他の如来と組み分けることができます。
生前の功徳によって来迎のランクが変わるといいましたが、指を見るとそのランクが分かります。親指と人差し指で輪を作っていたら「上生」というランク、親指と中指なら「中生」、親指と薬指で「下生」となります。
阿弥陀如来は左に観音菩薩、右に勢至菩薩を配置した阿弥陀三尊として祀られることが多くあります。来迎の際は一緒にお迎えに来るとされるのです。
阿弥陀如来のご利益
阿弥陀如来は人間が亡くなった後、極楽浄土へ連れて行ってくれる仏です。そのため、現世のご利益でなく、死後のご利益ということになります。
南無阿弥陀仏を唱えて極楽浄土に行くことができれば、そこで修業をして仏になれるとされています。