仏教の信仰対象である仏の姿を表現した仏像には様々な種類があります。服装や持ち物など仏像によってバリエーションがあり、それぞれの仏像に意味が込められ、得られるご利益も異なります。仏像の中でも、釈迦如来(しゃかにょらい)は仏教の開祖であるお釈迦様をモデルにした仏像です。
如来と名付けられた仏像は既に悟りを開いているという設定なので仏像の中でもトップクラスの地位に分類されます。主な如来には釈迦如来、薬師如来、阿弥陀如来、大日如来などがあります。
釈迦如来のエピソード、仏像の特徴、ご利益を順に理解していきましょう。

釈迦如来のエピソード

釈迦如来のモデルはブッダ
釈迦如来はブッダをモデルにした仏像です。ブッダは実在した人物で35歳のとき悟りを開きました。ブッダが弟子に説いた教えが現在の仏教のはじまりです。
また、ブッダは人間なので死を避けることはできません。ブッダの死後は遺骨が安置されたストゥーパ(仏塔)を訪れてブッダを偲び、弟子が仏教の教えを継承しました。
しかし、時代が進みブッダの死後500年以上が過ぎたとき、ブッダに会いたいという強い思いからブッダの姿をした釈迦如来が初めて作られました。つまり、釈迦如来は最初に作られた形の仏像ということになります。
ブッダの呼び方
ブッダは様々な名前を持ちます。本名としてガウタマ・シッダールタを始め、釈迦、釈尊などがあります。

釈迦如来像の特徴

如来像には三十二相八十種好(さんじゅうにそうはちじっしゅごう)があると説明されます。これは32種の大きな特徴と80種の細かい特徴、計112の特徴があるという意味です。
分かりやすい例として次のような特徴があります。
・頂髻(ちょうけい)
・白毫(びゃくごう)
・右手を上げて左手を下げる
・質素な服
・蓮華の台座
コブのように頭の肉が盛り上がっている部分を頂髻(ちょうけい)と言います。髪の毛をまとめているのではなく、頭の肉が盛り上がっています。これは釈迦の知恵を表します。
白毫(びゃくごう)は眉間に1本の白い毛が右回りに巻かれているもので、これを延ばすと4m50cm程になります。白毫から光が放たれ世界を照らします。
仏像の手の形にはそれぞれ意味が込められており、釈迦如来では右手を上げ、左手を下げていることが多いです。右手は施無畏印(せむいいん)と言い、畏れを取り除いてくれる意味です。また、左手は与願印(よがんいん)と言い、望むものを何でも与えてくれる意味です。
釈迦如来は悟りを開いた後のブッダをモデルとしているので、出家して贅沢をしない姿を現すために質素な布を1枚着ているだけです。
泥の中から綺麗な花を咲かせる蓮に乗ることで、その仏像が綺麗な蓮の上の世界にいることを表します。

釈迦如来のご利益

ブッダの死後、悟りを開こうと修行に励んだ弟子たちが釈迦如来を崇拝していました。つまり、釈迦如来は悟りを開くためのご利益があるということになります。また、釈迦如来の左手が示すように望むものは何でも与えてくれるという意味も含まれています。
しかし、出家をした修行僧であっても悟りの境地にたどり着くことは難しい事でした。そのため、出家していない庶民は救われないことは間違っているという考えに至りました。そこで、誰でも救済される大乗仏教へと発展しました。
大乗仏教では誰にでもご利益が得られるという考えから、病気を治したり、知恵を授けたりする仏像が増えていきました。そのため、大乗仏教の登場より歴史の古い釈迦如来には、何かに特化したご利益は謳われていません