歩き遍路をしていると道中に写真のような道しるべを見ることが頻繁にあります。この道しるべは遍路道のいたるところに表示されていて、木製、石製、シールなど様々な種類の道しるべがあります。
特に曲がるポイントのガードレールや電柱にシールなどが貼ってあるため、お遍路さんが道を間違えないように配慮されています。山道でも木の枝などに目印が付けられています。
歩き遍路をする人は基本的に地図を持っていますが、見知らぬ土地を地図だけで歩くのは難しいです。しかし、この道しるべのおかげで多くのお遍路さんが助かっています。また、お遍路さんのマークがある道を通ると、間違っていないということが分かるので安心できます。
30分見なければ道に迷ったと思ってよい
歩き遍路をしているとほとんどの交差点や曲がるポイントで道しるべが案内してくれています。そのため、30分歩いても道しるべが現れない場合は、道を間違っていると疑った方がよいです
自分がどこにいるのか分からなくなってしまうと地図を見ても正しい道に戻ることは容易ではありません。そのような場合はスマホのGPS機能を利用したり地元の人に現在地を教えてもらったりしましょう。
逆打ちでは道しるべが見にくい
多くの道しるべは1番札所→88番札所の方向に順打ちするお遍路さんに向けて設置されています。そのため、88番→1番の方向に逆打ちするお遍路さんには見えにくい場所に道しるべが設置されていることになります。
逆打ちのお遍路さんから見ると道しるべが電柱の反対側や、道を曲がった後に現れることになります。
閏年に人気の逆打ちはご利益が3倍にもなるといわれていますが、道しるべが見えにくいために道を間違えやすく難易度も増加します。そのため、初めて歩き遍路をする場合は順打ちをおススメします。
同行二人を感じる
一人でお遍路をしていても道しるべを見たり、整備された山道を見たりすると、自分一人ではお遍路はできないと感じます。
お遍路をする自分には常に弘法大師がそばにいてくれるという「同行二人」の考えがありますが、弘法大師だけでなく地元の人や過去の協力者の存在も快適なお遍路には欠かせません。
 
誰が道しるべを作っているのか
遍路道に多数ある道しるべは様々な人によって作られています。へんろみち保存協会、地元の協力者、宿の運営者などです。
時に、石で作られた道しるべを見ることがあります。その中には江戸時代から残る道しるべもあるため歴史を感じることができます。特に、江戸時代にお遍路さん用の道しるべを作ることに貢献した人物を2人紹介します。
・真念(~1691年)
・中務茂兵衛(~1922年)
もともとは修行僧であった真念は江戸時代のお遍路を紹介するガイドブック的な著書「四国遍路道指南」の著書で、お遍路全国的に有名にした人物です。彼の仕事はお遍路が宗教的な修行というイメージから観光というイメージへ変化するきっかけとなりました。
そのため、各地から四国へやってくるお遍路さんが道に迷わないように道しるべを作ったのです。現在でも30数基の真念による道しるべが遍路道に残っています
次に、中務茂兵衛(なかつかさもへえ)は生涯のうち280回のお遍路をした大ベテランのお遍路さんです。彼は自身の経験を踏まえたお遍路のガイドブックである「四国霊場略縁起道中記大成」の著書です。
中務茂兵衛も後から来るお遍路さんのために道しるべを数多く設置しました。現在でも230基以上の道しるべが残っています
石柱の道しるべを見つけたら、彫られている文字に真念や中務茂兵衛の文字が確認できるかもしれません。