ヘンロ小屋とは
四国八十八ヶ所を巡るお遍路の旅をしていると、「ヘンロ小屋」と呼ばれる休憩所を見つけることができます。
特に歩き遍路をする人が休憩するために設置してあるので山間部など人気のない所に建つヘンロ小屋が多くあります。
このヘンロ小屋は「四国八十八ヶ所ヘンロ小屋プロジェクト」を支援する会の活動によるもので、地元の方々からの寄付や労力奉仕によって作られています。
全てのヘンロ小屋に屋根とベンチがあるため、歩き遍路をする人にはちょうど良い休憩所となっています。また、建築家の歌一洋さんが設計をしているため、それぞれのヘンロ小屋にバリエーションがあってユニークな設計となっています。
遍路小屋で休憩できる
約1200kmの距離を徒歩で巡る歩き遍路では、毎日30km歩かなければなりません。熱中症や怪我の予防のためにも定期的な休憩が必要不可欠です。
しかし、お遍路さんが歩く遍路道には気軽に休憩できる場所は多くありません。草むらに腰を掛けるとマムシやダニに咬まれるかもしれません。また、熱いアスファルトの上に座っても疲労が残ってしまいます。
そこで、日陰とベンチがあれば十分に体を休めることができます。四国各地に設置されているヘンロ小屋はお遍路さんにとって非常にありがたい場所なのです。
お遍路さんの交流の場にもなる
ヘンロ小屋は単なる休憩所だけでなく、お遍路さん同士の交流の場ともなります。やはり、お遍路さんが気軽に休憩できる場所は少ないので、多くのお遍路さんは屋根とベンチのあるヘンロ小屋を利用します。
仮に、全てのお遍路さんが時速4kmで歩き、ヘンロ小屋を見つけたら15分間休憩すると考えると、前後1km範囲を歩いている他のお遍路さんとヘンロ小屋で出会うことになります。
お遍路さんは基本的に次の寺へ同じ道を歩いています。また、お遍路のハイシーズンでは前後に何人ものお遍路さんが歩いているという場合もあります。
しかし、遍路道は曲がりくねっているので自分の前後にお遍路さんが歩いていても、その存在に気づきにくいのです。そのため、ヘンロ小屋で休憩すると後から来るお遍路さんも休憩するので交流するきっかけとなりやすいのです。
山道など一人で寂しく歩いている時にお遍路仲間に会うと安心感が得られて心強くなります。ヘンロ小屋のベンチに座って話し合ったり、その先一緒に歩けたりします。
私が歩き遍路をした時もヘンロ小屋で多くのお遍路さんとお話ができて思い出として残っています。
ヘンロ小屋の注意点
全てのヘンロ小屋はボランティアによって管理されています。小屋の建つ土地も所有者や自治体から借りています。
そのため、利用者は最低限のマナーを守る必要があります。また、次に訪れるお遍路さんにも配慮しなければなりません。
ゴミを残したり勝手に野宿をしたりすることは、近隣住民の迷惑となる可能性があるので十分に気を付けましょう。
リンク
「 四国八十八ヶ所ヘンロ小屋プロジェクト」を支援する会