歩き遍路を行う人は遍路道として定められたコースを選択する人が多いですが、遍路道には分岐するコースが存在しています。
例えば、峠を山道で超えるコースとトンネルを抜けるコースというように好きな方を選ぶことができます。
どの遍路道を選択するかはあなた次第ですが、遍路道の分岐点に出会う旅に自分の判断基準を試されているような気分になります。
今回は高知県土佐市にある36番札所、青龍寺からの3つの遍路道を紹介します。

1.スカイラインを通る遍路道

 


1つめの遍路道は県道47号線(横浪スカイライン)を歩くコースです。
スカイラインは山の尾根伝いに走っているため、アップダウンの多い道程になります。また、歩道がないため自動車との接触に注意しながら歩く必要があります。ただし、交通量は多くないので比較的楽に歩けます。
天気が良ければ土佐湾の素晴らしい景色を見ることができます。途中に武市半平太像のある休憩所があります。
距離を考えるとスカイラインの方が2つめの打ち戻りコースより約2km短くなりますが、その分高低差のある道を通行することになります。

2.打ち戻りをする遍路道

2つめの遍路道は青龍寺から来た道を戻る打ち戻りのコースです。宇佐大橋を渡って県道23号線を歩くことになります。
打ち戻りのコースは浦ノ内湾の沿岸の平たんな道のりを歩くことができます。また、歩道が整備されている場所が多いため、ストレスなく歩くことができます。ただ、浦ノ内湾沿岸を通る曲がりくねった道なのでスカイラインより距離は長くなります。
また、どちらのコースも飲食店やトイレは少ないのであらかじめ準備して出発しましょう

3.海の上の遍路道

最後に紹介する遍路道はあまり知られていないコースで、へんろみち保存協会が出版する地図にも載っていません。
海の上を通る遍路道として浦ノ内湾の巡行船を利用するコースがあります。埋立地区から横浪地区へ船で移動することができ、所要時間は1時間程度で約10km進むことができます。
遍路道は時代によって変化するものです。新しい橋やトンネルができると遍路道も新しくなるのです。35番札所の青龍寺は横浪半島の突端に位置し、現在ではスカイラインや宇佐大橋を経由して自動車でも難なく行くことができますが、道路が整備される前は簡単にはたどり着けない札所でした。
かつては「竜の渡し」と呼ばれる渡し舟があり、お遍路さんは船に乗って青龍寺へ向かっていました。なんと、この渡し舟の起源は弘法大師・空海だと言われています。不便な土地にある青龍寺への参拝者のために渡し舟を出すように空海が命じて作らせたのです。
1687年に出版された「四国遍路道指南」にも宇佐からの歩き道は難所なので船で行ってもよいと記されています。
現在の巡行船はお遍路さんだけではなく、小・中学生の通学にも利用されています。巡行船の運行状況、運賃、船着き場などは以下のリンクよりご確認ください。
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