思い立ったが吉日で歩き遍路に出かけると、普段運動していない人は故障をきたす可能性が高くなります。重たい荷物を背負って毎日30kmを歩くことは想像以上に体に負担がかかるためです。
特に、お遍路初心者であれば宿の予約や食事の場所などを考えることに手いっぱいになっているので、時間に焦るようになります。無理を続けるとトラブルの原因となってしまいます。
足のトラブルは歩き遍路にとって死活問題となります。中でも、足の裏にできるマメや靴擦れはよく知られています。しかし、シンスプリントについてはあまり知られていません。そこで今回は、歩き遍路初心者に起きる可能性のある足のトラブル、シンスプリントについてです。

足が痛むシンスプリントとは

普段運動をしていない人が急に長距離を歩いたり、新入部員が厳しい練習を続けたりすると起きることがある疾患にシンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)があります。
シンスプリントを発症するとスネの内側に痛みが発生することが多く、その痛みはズキズキと痛い鈍痛になるという特徴があります。また、痛みはスネの下方1/3で起きる場合が多いです。
シンスプリントを発症する原因は様々ですが、代表的な原因として次のようなものが挙げられます。
・無理をしすぎる
・筋力不足
脛骨過労性骨膜炎とも呼ばれるシンスプリントは文字通り骨膜に炎症が起きることで痛みが発生します。骨膜とは骨をカバーする膜の事で骨膜は筋肉と連結しています。
骨と筋肉が連結しているために、筋肉を酷使により骨膜に刺激が伝わり骨に影響します。それが炎症として現れます。そもそも、炎症とは生体の防御反応です。
風邪を引くと扁桃腺が腫れるのも炎症反応で、生体がウイルスや細菌を撃退しようとしています。同じように、シンスプリントでは骨膜の刺激に対して防御反応が起きていることになります。同時に痛み物質を出すことで「これ以上無理はダメですよ」という体からのメッセージにもなります。
しかし、無理をして運動を続けると炎症が収まらず長期化します。すると、炎症部位の組織(筋肉や滑膜)が徐々に傷ついてしまいます。さらに、痛みが強くなり回復までに時間がかかるようになります。

お遍路中に足の痛みを感じたら

痛みというのは体からのメッセージです。これ以上無理をすると良くない結果につながることを伝えてくれています。そのため、体に何らかの痛みが生じたら素直に休養を取ることが重要です。
お遍路の場合は同じ宿に連泊して全く歩かない日を設けることで対応できます。それでも痛みが引かない場合はお遍路を中断して病院で診察を受けることをお勧めします。
体の不調はお遍路の序盤で発生しやすいです。なぜなら、毎日30kmも歩く生活に体が慣れていないためです。そのため、お遍路の序盤は体を慣らすことに集中してゆっくりと進みましょう。区切り打ちの場合は毎回気を付ける必要があります。
急がば回れと言いますが、無理をして体を壊すと逆に時間がかかることもあり得ます。健康第一で歩き遍路の計画を建てましょう。

シンスプリントの予防

シンスプリントの主な原因は筋肉の酷使と筋力不足だと説明しました。そこで、予防法としては次のようなことに心がけると良いです。
・無理はしない
・お遍路前にウォーキングで体を慣らす
無理をしないことはシンスプリント予防に限ったことではありません。そのほかの体の異常に関しても同じことが言えます。歩き遍路では無理をしないことが鉄則です。
また、事前に自宅付近でウォーキングの練習をすると筋力トレーニングとなりスムーズに体を慣らすことができます。
その他の予防法としては歩く前にストレッチを行ったり、こまめな休憩をすることが挙げられます。宿に泊まって温泉に入るときはしっかり足を延ばしてお湯の浮力に任せて力を抜きましょう。