お遍路で巡る四国八十八ヵ所霊場は世界的に有名な観光スポットです。しかし、奈良の東大寺や広島の厳島神社などの観光地と少し雰囲気が異なります。
それは、白装束に菅笠、金剛杖スタイルのお遍路さんが多いという特徴があります。1番から88番までの札所を巡礼する人をお遍路さんと呼びますが、多くのお遍路さんはお遍路衣装を身にまとって巡礼しています。
バスツアーでお遍路をする人でさえ、お遍路衣装をそろえています。四国八十八ヵ所霊場に行く際は必ず衣装をそろえなければならないのでしょうか。
また、お遍路とは真言密教の開祖である弘法大師・空海を信仰する人々によって受け継がれてきました。そのため、真言宗や仏教徒でなければお遍路はできないのでしょうか。
お遍路は誰でも行ける
宗教や国籍などにかかわらずお遍路は誰でも行くことができます。そもそもお遍路には決められたルールなどは存在しません。そのため、参拝手順や御朱印なども強制されていません。
つまり、お遍路には決められた服装もなく、仏教徒でなくてもお遍路ができるということになります。
最近では外国人お遍路さんの姿をよく目にします。本当にすべての人を受け入れてくれる場所だということが分かります。
お遍路に決められたルールはありませんが、1200年の歴史を持つお遍路には文化や風習が残っています。昔から伝わるスタイルを体験したいのであれば服装をそろえるところから始めるとよいでしょう。
札所の境内で読経をしたり、納札を奉納したりするスタイルは現在でも多くのお遍路さんが実行しています。
また、バスツアーでお遍路に参加する場合、ガイドとして先達さんがお世話をしてくれることが多いです。先達さんはお遍路に詳しく正しい参拝手順を教えてくれます。
お遍路に僧侶は少ない
白衣・菅笠・金剛杖スタイルのお遍路さんを見ると立派な修行僧のように見えることがあります。特に歩いてお遍路をしている人の顔は真剣で素晴らしいです。
しかし、ほとんどのお遍路さんは僧侶ではありません。また、熱心な仏教徒というわけでもありません。
多くのお遍路さんは、観光客です。お遍路の手段として観光バスが最も大きな割合を占めていることからもわかります。
さらに、歩いてお遍路をしている人でさえ趣味レベルの人が多いです。私のような大学生もいれば、定年後の夫婦もいます。
お遍路は気軽に訪れてよい場所なのです。
強い思いを抱えたお遍路さん
多くのお遍路さんは観光や趣味で訪れているということを言いましたが、強い思いを抱えたお遍路さんもいることは必ず覚えておきましょう。
身近な人を亡くした人や、病気を抱えた人が自らの気持ちを落ち着かせるためにお遍路をしているケースがあります。私もそのようなお遍路さんに出会いました。
気軽に足を運べるお遍路ですが、常に思いやりの気持ちを持って行動しなければなりません。