何か継続したいけれど、何をやっても続かない。そう感じている人は意外と多くいます。「継続は力なり」と頭では分かっていても体が言うことを聞きません。
ありふれた書籍には「歯磨きのように習慣化する」と書かれていますが、それを体で実行することがどれほど難しい事か…。
しかし、四国八十八ヶ所霊場を巡るお遍路では事情が異なります。毎年、数千人のお遍路さんが1400kmの距離を40日間かけて歩いています。
よく考えてみると、1400kmの道のりは青森ー山口間に相当します。今の時代に誰が1400kmを歩きたいと思うでしょう。しかし、お遍路さんは毎日コツコツ歩き続けて四国を一周しています。実はお遍路に継続するためのヒントが隠されているのです。
他人に見られる、他人に宣言する
自分の決めたことを継続して行うために「他人に見られる、他人に宣言する」というポイントがあります。
あなたが継続して実行している様子を他人に見られたり、「私は1年間○○を続けます」と誰かに宣言したりすることで習慣化できる可能性が上がります。
言い換えると不言実行、有言実行をしてくださいということになります。不言実行とは黙ってなすべきことをする事、有言実行とは言ったことを必ず行う事です。
他人に自分が努力している姿を見せることで「あの人は毎日頑張る人だ」というイメージを持たせることができます。また、これから挑戦しようとしていることを人に宣言する場合も同じように「あの人は○○に取り組もうとしている」というイメージを持たせることができます。
他人から「努力する人だ」「続けられる人だ」というイメージをもたれたらどのように感じるでしょう。あなたはそのイメージを崩したくないと思うはずです。ここには一貫性を保ちたいという人の心理が関係しています。
一貫性とコミットメント
人は一貫性を保ちたいという心理を持っています。また、一貫性を保っている人は信頼されやすいという特徴があります。例えば、店に入った時に何も買わずに出るのは何だか気持ち悪いと思い、ダイエットのインストラクターが太っていると信用できません。
言っていることと行動が全く異なる人は周囲から危険な人物、信頼できない人物だと思われてしまいます。それを避けるために人は一貫性を保とうと無意識に行動しているのです。
それを逆手にとって自ら宣言してしまえば、その宣言通りやらざるを得ない状況になってしまいます。このように事前に宣言することを「コミットメント」と言います。続けることをコミットメントするとなかなかやめられない状況になってしまいます。
コミットメントをする相手が多いほどこの効果は強くなるため、なるべく多くの人に続けるという意思を宣言しておきましょう。
お遍路さんはコミットメントをしている
お遍路さんは金剛杖、白衣、菅笠などのお遍路衣装を着て四国を巡拝しています。これは四国の人に対して「私はお遍路さんです」と宣言していることになります。つまり自らコミットメントをしています。
また、四国でお遍路をしてくるということを家族や友人に伝えることもコミットメントになります。
すると、お遍路をすると言ってしまったために途中で帰りにくくなります。88ヶ所の札所をすべて参拝してから帰らなければという心理が働くためです。
ただし、お遍路は1400kmを歩く過酷な旅です。そのため途中でギブアップする人も少なくありません。全行程を歩くと決めていたのにタクシーを使ってしまったという話はよく聞きます。
と同時に、歩けなかった区間をもう一度リベンジして歩こうというお遍路さんも多くいます。これは宣言通りに達成できなかったことに自分が納得できていないためです。
継続したいことは宣言をするところから始めましょう。