もくじ
自信過剰バイアスが起こす負のスパイラル
バイアス(bias)とは
人間は正しい判断を常に行うことはできません。人間の意見や思想には常に偏りが生じているからです。この偏りの事をバイアスと呼びます。
しかし、多くの人はバイアスに気付くことはできません。先入観や偏見により意思決定をしても、自分は客観的に判断できていると思っています。
バイアスについて知ることで、思い込みで判断しないための考え方が身に付きます。
自信過剰バイアス
「自信過剰」もバイアスの一種です。自分の考え方は絶対正しい、自分には実力がある、価値があると自信過剰になる傾向があります。程度は人によって異なるにしても、自信過剰バイアスは誰にでも生じます。
たとえば次の質問を考えます。答えてみてください。
【A】1.上位 2.下位
【Q2】自分の容姿は
【A】1.良い 2.悪い
【Q3】自分の性格をクラスや部署内の人と比べると
【A】1.良い方 2.悪い方
【Q4】車や自転車の運転技術について
【A】1.上手い 2.下手
1と答える人が多くなるという結果が予想されます。人間は多かれ少なかれ自信過剰バイアスを持っているためです。
テストの成績を考えるときは全世界での順位は考えません。自分の成績だけを考え、学内や学年での順位などを想像して狭い範囲で考えます。容姿についても自分の周りの人と比べるだけで、外国人やトップスターやモデルを考慮に入れていません。
自分から見えている世界を判断基準にしています。つまり、主観的に考えていることが分かります。
さらに、不確実性が増すと自信過剰バイアスは強くなる傾向にあります。つまり、データ不足では自信過剰になるということです。
そのため、【Q1】【Q2】より【Q3】【Q4】の方が1と答える人が多いと予想できます。
テストの点やIQなど客観的に評価できる指標が無い場合、より自信過剰となります。性格や運転技術は他人と比べる物差しが無いため、主観的にしか判断することができません。
テストや面接を受けた後は「他人より上手くいった」と思っていても、客観的なデータが結果として返ってくると「自分はダメだった」と判断できます。
データや情報が不足している事柄に対しては、思い込みやすくなっているということを注意して生活する必要があります。
自分の見たものが全て(what you see is all there is)
人間は自分の見ている世界を基準にして考えるため自信過剰となる傾向があります。しかし、自信過剰バイアスは、決して悪い事ではありません。
自分に価値があると信じていれば、本来の自分よりレベルの高い世界に飛び込む勇気を持つことができたり、自分より優れた人と結婚しようとしたりします。
しかし、ギャンブルで自信過剰バイアスが発揮されると最悪です。このような人は収支的に負け組となる人ばかりです。ギャンブルで収支をプラスに保ったり、辞めたりするためには主観的な判断を捨てなければなりません。
スロットで小役の確率が良い時や、出玉が多い時は「高設定だ!」、「設定6をツモった!」と思い込みます。実際の設定は店しか知りません。しかし、自分の見た範囲で良い方向につじつまを合わせてしまうのです。
競馬でも、競馬新聞を全部読む人は少ないはずです。また、全部読んだところで情報は不足しています。また、競馬新聞には◎や▲といった印が並んでいますが、複数のライターの意見が載っています。私たちはその意見を複合させて、自分の都合のいいように解釈しているだけなのです。
「今日は勝てる」、「明日は勝てる」という思い込みも自信過剰バイアスです。
一方で、ギャンブルで勝つ人は確率や統計学といった考え方を導入しています。なるべく客観的なデータを揃えることでバイアスを排除しているのです。
ギャンブルの世界では、思い込みで判断することで収支はマイナスになります。そのため次のようなスパイラルに陥ってしまう人が多くいます。
スロットの設定や馬のデータ、統計的知識が不足しているため自信過剰になり負ける。さらに「次は勝てる」意味不明な自信によって負の連鎖が繰り返されます。