競馬場で叫ぶ理由

競馬場ではレース中にジョッキーや馬に声援を送る人が大勢見られます。最後の直線では「差せー!!」「そのままー!!」という具合に応援しています。また、場外馬券場でもテレビ画面に向かって大声で叫ぶ人もいます。
パチンコでは画面に手をかざして魚群を期待したり、敢えて時間を空けて打ったりと様々なオカルト打法が存在します。スロットではレバーをたたく強さを変化させたり、台をなでたりしている人がいます。
これには人間の生まれ持った心理が関わっています。この心理は誰にでも当てはまるため、何処の競馬場にも叫ぶ人は来るし、日本中どこのパチンコ店に入っても同じようなオカルト打法が存在しています。
そこで、人間の心理を2つ紹介します。

その1.人は未来を考えることが好き

人間は未来を想像することが好きな生物です。同時に、人間にしかできないことなのです。多くの動物もある程度の天敵の気配やエサの場所を予想はできますが、人間ほど高度な想像をすることはできません。自動車の設計図を描くことはできないのです。
毎朝占いをチェックする人、天気予報や渋滞情報をチェックする人は未来を考えていることになります。それは単に好きだという理由ともう一つの理由があります。

その2.コントロールしたい欲求

これから体験する経験をコントロールしたいという欲求が強いという性質があります。ラッキーアイテムを持つことで不幸を免れ、天気予報や渋滞情報を確認して外出先で困らないように対策を打っているのです。
自分が将来困るというシチュエーションから逃げたり、自分が思った通りに環境や社会が動いたりすると非常に心地よく満足感を得られます。
コントロールしたい欲求は全ての人が生まれた時から持っています。幼い子供を考えると分かりやすいので例を挙げます。
幼稚園では積み木が人気の遊びです。自分で積み重ねてコントロールできるから面白いと感じています。自分でやるから面白いという感情が最も強く表れます。特に2歳児は「一次反抗期」呼ばれる時期が訪れ「魔の2歳児」と呼ばれます。この時期は大人の言うことに聞く耳を持ちません。
また、大人になってもテレビゲームを楽しむ人は多くいます。テレビゲームは自分が思った通りにキャラクターをコントロールできるので楽しく感じます。もし、自分の選んだキャラクターが勝手に動き回ったら面白くないし、他人のゲームを見るだけではつまらないと感じます。

コントロールできないものに…

支配できるものに対してコントロールする事は楽しいだけではなく、自分を助けることになります。午後から雨と言う予報なら傘を持っていきます。
人間のコントロールへの欲求は非常に強くコントロールしていると感じることで報われることが何度もあるため、コントロールできないものに対しても自分はコントロールしていると錯覚することがあります。
これが競馬場で叫ぶ理由です。
競馬中継のテレビ画面の前で必死に叫ぶ人はその声がテレパシーのようにジョッキーや馬に伝わり、勝つ可能性が高くなると考えています。
その証拠に、競馬中継が生放送ではなく録画であれば熱血応援する人は少なくなります。それは、もう結果が決まっていてコントロールできないことを十分理解しているためです。
パチンコやスロットでも同じです。いくら心を込めてボタンをPUSHしても結果は変わりません。相手はプログラムされた機械なので、あなたの本気度を判断することはできません。
ギャンブルは念力で勝つことはできません。確率、期待値、統計学を考える人が勝つのです。
競馬場で応援することは悪い事ではありません。しかし、「俺の応援で目が覚めたように差し切った」、「想いが通じた」と勘違いしないでください。