仏像は文字ばかりでわかりにくい仏教典に登場する仏をリアルに表したもので、様々な種類の仏像があります。服装や表情など仏像によって異なり、得られるご利益も異なります。

仏像の中でも帝釈天(たいしゃくてん)は東京の葛飾区にある柴又帝釈天が有名です。帝釈天のエピソード、仏像の見方、ご利益を順にみていきましょう。

帝釈天のエピソード

天部とは

仏像を簡単に分類すると、如来、菩薩、明王、天部の4つのグループに分類することができます。それぞれには異なる役割があり、毘沙門天や広目天と言った○○天と名の付く天部グループの仏は、仏教の守護神としての役割があります。

優しい表情をすることが多い如来や菩薩と異なり、天部はにらみを利かせた表情で様々な武器を持ち武装します。これは煩悩や邪魔者が仏教界に侵入することを防ぐためです。

もとはインドの神

帝釈天のルーツはインドのバラモン教では武勇神インドラとされています。仏教はバラモン教やヒンドゥー教に登場する神々を取り入れながら変化してきた歴史があります。その過程でインドラも取り入れられ帝釈天として扱われるようになりました。

阿修羅との戦い

帝釈天と阿修羅はライバル関係にありました。古代インドの文献「リグ・ヴェーダ」に登場するエピソードでは阿修羅には一人の娘がおり、帝釈天に嫁がせようと考えていました。しかし、帝釈天は娘に一目ぼれし、連れ去って犯してしまいました。

正義の神である阿修羅は怒り狂い、戦闘神インドラに戦いを挑みました。アスラ軍は敗北してもなお戦いを続け、修羅場となりました。しかし、神の世界も世知辛いものです。いつの間にか阿修羅の娘は帝釈天に惚れ、結婚し子供を授かりました。

結局、阿修羅は完敗し天界から修羅界という世界に飛ばされてしまうのです。一方、帝釈天は須弥山と言う仏教世界の頂上に住んでいます。

相方は梵天

仏教での帝釈天の役割は、釈迦を守ることです。そのため、釈迦如来の脇侍(わきじ)として帝釈天と梵天が配置されることがあります。煩悩や邪魔者が釈迦のいる世界に入らないように見張っているのです。

相方の梵天(ぼんてん)もルーツはインドのバラモン教にあり、宇宙の創造神であるブラフマンが仏教に取り入れられました。

帝釈天の見方

・ たもとの長い服装
・ 甲冑・武器

帝釈天の服装は中国風の袂(たもと)の長い衣装であることが多いです。また、立った状態の立像や白い像に乗った像などがあります。特に像に乗ったパターンは密教で見られます。

元々はインドの武勇神でしたが、仏教に取り入れられてからは穏やかな性格になりました。ただし、仏教や釈迦を守る天部としての役割を果たすため、甲冑を着たり、武器を持ったりする場合があります。

帝釈天のご利益

仏教守護・国家守護

仏教を守るという天部の役割から、仏教守護だけでなく、国家守護というご利益が考えられるようになりました。

さらに、天部は人々を苦しみや煩悩から救い、守ってくれます。つまり、災難から守られ、貧乏にならないと考えられます。