仏像には様々な種類があり、表情や服装など仏像によって異なります。当然、得られるご利益も異なります。仏像の中でも、吉祥天(きっしょうてん)は校風をもたらす女神として有名です。吉祥天のエピソード、仏像の見方、ご利益を順に説明します。

吉祥天のエピソード

幸福の神

吉祥天のルーツは古代インド神話に登場するマハーシュリーという女神でした。この女神は幸福をもたらし、様々なご利益があるとされました。

吉祥天は奈良時代以降に日本でも信仰されるようになり、特に貴族階級の人々に篤く信仰されました。一方、庶民には弁財天が篤く信仰されました。

旦那は毘沙門天、息子は善膩師童子

毘沙門天と吉祥天は非常に有名な仏像ですが、2人が夫婦で善膩師童子(ぜんにしどうじ)という息子がいることは、あまり知られていません。

この仏像家族を祀る際は中央に毘沙門天を配置し、両脇に吉祥天と善膩師童子という配置で三尊像となることがあります。

母は鬼子母神

吉祥天の母は鬼子母神(きしぼじん)と言う説があります。鬼子母神は他人の子供を食べる鬼として恐れられていました。しかし、釈迦の説法を聞き、鬼子母神は改心したというエピソードがあります。吉祥天はこのような複雑な家系に育ったことが分かります。

吉祥天の見方

・ モデルは中国の貴婦人
・ 如意宝珠
・ 与願印

吉祥天はもともと女神であったため、女性らしい体格をしています。また、中国の貴婦人が着るような豪華な衣装を身にまとい、幸福をもたらす女神であることを象徴します。

左手には如意宝珠(にょいほうじゅ)を持つことが多いです。如意宝珠とは大きな水滴のような形をした宝石で、願いをなんでもかなえてくれるとされます。また、右手は手のひらを正面に向け、下に降ろした与願印をとることが多いです。これも人々の願いをかなえることを意味しています。

吉祥天のご利益

金持ちになれる

女神としてのルーツを持つ吉祥天は貧困を取り除き、富をもたらす神様として信仰を集めてきました。真言を唱えれば、金持ちになれるとされます。

そのようなご利益が期待できる場所として、四国八十八ヶ所63番札所の吉祥寺の境内には吉祥天像があり、その下をくぐるとご利益を授かれるとされます。

五穀豊穣・商売繁盛・家内安全

富をもたらすことから、五穀豊穣、商売繁盛、家内安全にもご利益があるとされます。さらに発展し、国全体の繁栄を祈願するため、吉祥悔過会(きっしょうけかえ)という国家的な法要も行われました。