最近は四国八十八ヶ所を巡る人が増加しています。それは昔と比べると道路が整備され、バスツアーが企画されるなどお遍路が簡単になっているためです。
しかし、1200kmの道のりを歩いてお遍路する人はすべて自分で計画・準備をしなければなりません。荷物の準備や宿の手配、体調管理まですべて自分で行います。
お遍路には守らなければならないスタイルはありませんが、多くのお遍路さんは白装束や金剛杖など、お遍路の文化に従っています。全てのお遍路グッズをそろえてしまうと歩き遍路では邪魔になる可能性があります。
歩き遍路をするお遍路さんは大きなバックパックを背負って歩きます。しかし、荷物が多すぎると重量が負担となり足にマメができ、関節も痛めてしまいます。
歩き遍路では如何に荷物を軽くするかということが課題となります。そこで、これだけ準備すれば歩き遍路ができるという必要最低限の持ち物を紹介します。必要ないものを持ち運ぶとそれだけで負担が増します。
現代の歩き遍路に必要なお遍路グッズ
歩き遍路では山道や住宅街を通り抜けるルートもありますが、市街地を通ることもしばしばあります。そのため、大体のものはコンビニなどで現地調達できるため最初から準備する必要はありません。しかし、次のものはお遍路に出発する際に持っておきましょう。
・金剛杖
・菅笠
・スマホ
・地図
・ウォーキングシューズ
・バックパック
・着替え(1日分)
・レインコート(雨合羽)
金剛杖と菅笠
歩き遍路をするうえで金剛杖と菅笠は必須アイテムです。金剛杖をついて歩くと体重を分散させることができ足の負担が軽減されます。1200kmの道のりを歩くので小さな効果も積み重なり大きなものになります。
また、菅笠は頭上の危険から身を守ります。特に山道を歩くときはハチや毛虫が顔にぶつかりにくくなります。また、通気性が高く日射を遮るため熱中症予防にもなります。
さらに、これらを身に付けて歩くことで自分がお遍路をしていることをアピールできます。地元の人であっても不審な人には警戒しますが、お遍路さんであることが分かると理解してくれます。
これら2点は1番札所などで購入することができます。
納経帳やローソク、線香などのお遍路用品は歩き遍路において役立つ瞬間はありませんが、思い出として持って行くのもよいでしょう。
スマホ
現代のお遍路ではスマホや携帯電話を持たずに行くことは考えられません。
歩き遍路では宿の予約をする際に1~2日前に電話予約をします。また、道に迷ったときはGPSで自分の位置情報を確認することができます。
さらに、何かトラブルが発生した際はタクシーの配車に使えます。天気予報や地震速報も確認することもできます。
その他、カメラ、メモ帳、簡易ライトとして使えるためスマホを1台持てば大幅に荷物の重量を減らすことができます。
地図
歩き遍路をする人のバイブルと言ってもよい地図があります。それは、へんろみち保存協会の四国遍路独り歩き同行二人[地図編]です。
GoogleMapや市販の地図ではお遍路さんを考慮して作られていないので不便に感じますが、この地図に記載されている情報は常にお遍路さん目線で書かれています。
地図に記載されているルートの多くは昔ながらの遍路道です。そのため、お遍路さん以外はほとんど通らないような山道や細道を通ることができます。車遍路では絶対に通らない道で絶景に出会えます。
また、札所までの距離、遍路宿やヘンロ小屋の情報、などお遍路さんに必要な情報が充実しているため非常に便利です。この地図は1番札所やネットショップなどで入手できます。
リンク
へんろみち保存協会の四国遍路独り歩き同行二人[地図編]
ウォーキングシューズ
歩き遍路をするのであれば、靴にこだわらなければなりません。普段の生活で歩く距離であれば、どの靴を履いても問題ありませんが、歩き遍路では毎日40kmほど歩かなければなりません。
粗悪な靴により足にかかる負担が増えると、マメができたり歩けなくなるほどの痛みに襲われたりすることがあります。
そのため、なるべく良い靴を選ぶ必要があります。靴の種類に関してはウォーキングシューズがおすすめです。実は、遍路道の9割がアスファルトで舗装されているので登山靴よりウォーキングシューズの方が良いのです。
バックパック
荷物を運ぶ際はバックパックが良いでしょう。両手をあけることができ、体にかかる重量も左右均等に分散できるためです。
着替え
最低でも1日分の着替えは持って行きましょう。逆に3日分の着替えを持って行くと荷物が重くなってしまうので多くても着替えは2日分です。
洗濯に関しては多くの遍路宿、民宿ですることができます。市街地であればコインランドリーが使えます。
また、衣服は大けがをした時に止血のために使え、熱中症の時には水分を含ませて体を冷やすことに使えます。
レインコート
歩き遍路は40日程度必要となります。そのため必ず雨の日に歩くケースが訪れます。そのためにレインコートは必須です。衣服やバックパックに水分がしみこむと重くなってしまいます。
また、雨に濡れながら一日中歩き続けると体調を崩す原因となります。100均で帰るようなビニール製のものではなく、しっかりとしたレインコートをお勧めします。
また、お遍路の札所は標高の高い所に位置することもあります。標高が100m高くなると気温が約0.6度低くなります。山奥で寒さを感じても防寒着を調達できないので、レインコートで代用することができます。