四国八十八ヶ所は総距離1200kmを超える過酷な旅であるため、全ての札所を巡るには相当なコストが必要となります。1度も中断せずに88ヶ所を巡ることは「通し打ち」と呼ばれ、これを達成できる人は限られています。

しかし、何度かに分けて88ヶ所を巡る「区切り打ち」という方法もあります。実はこの「区切り打ち」の方がメジャーな巡礼方法で、休日を利用してお遍路巡りをする人が多くいます。特に、中国・近畿地方からは高速道路を利用して日帰りでお遍路を楽しむことも可能です。

また、狭い範囲に密集して札所がある地区では1日に5~7ヶ寺を巡ることも可能です。そして、88ヶ所の札所には1番~88番までの番号が付けられていますが、必ずしも番号の順番に巡る必要はありません。

1番から順にめぐる方法を「順打ち」、88番から逆にめぐる方法を「逆打ち」、ランダムにめぐる方法を「乱れ打ち」と呼び、参拝者が納得できれば基本的に何でもよいというのがお遍路のルールです。

阿波5ヶ所参り

徳島県にある札所を日帰りで巡りたいという方にオススメなのが阿波5ヶ所巡りです。徳島市にある5ヶ寺(13番札所 大日寺~17番札所 井戸寺)は比較的狭い範囲に札所が密接しており、1日で巡ることができます。

各札所間の距離は次の表のようになります。阿波5ヶ所参りの総距離は約10kmとなります。

札所番号 札所 距離
13番→14番 大日寺→常楽寺 3.2km
14番→15番 常楽寺→国分寺 0.8km
15番→16番 国分寺→観音寺 2.0km
16番→17番 観音寺→井戸寺 3.7km

総移動距離が10km程度なので、自動車で移動した場合は札所以外の観光地も訪れることができます。徳島では阿波踊り会館、鳴門の渦潮、大塚美術館などがアクセスしやすい観光地です。

また、歩いて巡っても日帰りお遍路が可能です。本格的に歩いてお遍路をする人は1日に30kmを歩くため、阿波5ヶ所巡りは歩き遍路入門編と言えます。

各札所の見どころ

13番札所・大日寺

四国八十八ヶ所の中で最難関の札所とされる12番 焼山寺から20km程山を下った所に大日寺はあります。ここでは「しあわせ観音」があります。観音様は人々をシッカリ観察して、願いをかなえてくれる仏様とされます。

14番札所・常楽寺

常楽寺はお遍路マニアを喜ばせる珍しいポイントがたくさんあります。アララギ大師は糖尿病にご利益のある弘法大師像、地面から岩盤が露出した地層が見える境内、本尊は88ヶ所唯一の弥勒菩薩と見どころ豊富な札所です。

15番札所・国分寺

国分寺は奈良時代の聖武天皇によって全国に建立された由緒正しいお寺で、この地がかつて阿波国の中心地だったことを示します。本堂の裏には国の名勝に指定された日本庭園が広がり、無数の巨石が立ち並びます。

16番札所・観音寺

街中に建つ観音寺は、その名のとおり千手観音が本尊としてまつられます。ここでは料金を支払うと白衣の襟に光明真言の印を押してくれるサービスがあります。

17番札所・井戸寺

ここには弘法大師の伝説が残ります。「面影の井戸」では井戸の水面に自分の顔がきれいに映れば無病息災、映らなければ3年以内に災いが起きるとされます。一度試してみてはいかがでしょうか。