四国八十八ヶ所お遍路:杖杉庵 衛門三郎の伝説

 

四国にある弘法大師(空海)ゆかりの八十八ヶ所の寺を巡るお遍路には、弘法大師にまつわる伝説が語り継がれています。その中には、只のおとぎ話レベルではなく現代の人間の生き方のヒントとなるようなものが含まれています。

 

弘法大師は今から約1200年前に四国で修業を行いました。弘法大師が長い年月を経ても信仰されるのは理由があります。大師はカリスマ性やリーダーシップを持ち、人を引き付ける行動を行っているからです。

 

伝説通りの奇跡が本当に起こったかどうかは分かりません。しかし、弘法大師は厳しい修行をして中国で密教を習得し、日本で多くの人を助けたことは事実だと考えられます。そのため伝説が現在まで語り継がれているのです。

 

人間の心理や行動の原則は1000年前も今と変わりません。つまり、日常の悩みを解決するヒントがお遍路を考えることで見えてきます。

 

実際、お遍路を巡る理由として「自分探し」、「精神の鍛練」といった自己啓発的な理由が多い事にも納得できます。

 

杖杉庵 衛門三郎の伝説

お遍路の起源には諸説あります。そのうちの一つに衛門三郎(えもん さぶろう)という人物が関わる伝説が残っています。

 

衛門三郎は現在の愛媛県松山市で豪族として裕福な暮らしをしていました。ただ、強欲な性格だったため年貢の取り立てを厳しくしたり、貧しい人々に厳しい労働をさせたりしていました。

 

ある日、家の前に一人のみすぼらしい僧が訪れました。僧は食べ物を求めて来ましたが、衛門三郎は何もないと言って追い返してしまいました。

 

しかし、僧は次の日から毎日訪れました。そこで、8日目に衛門三郎は僧が持っていた鉄鉢(てっぱつ)を叩き割って8つに割れました。鉄鉢とは僧が托鉢(たくはつ)を行う時に持つお椀のことです。

 

すると、僧は現れなくなりました。ところが、罰が衛門三郎を襲います。衛門三郎には8人の子供がいました。その子供たちが毎日一人ずつ死んでいったのです。

 

この時、自分が無礼を働いた僧は空海だったと思い、彼に謝罪するため空海にゆかりのある四国の八十八ヶ所の寺を巡ろうと決意したのです。

 

そこで、家や財産を金に換え、貧しい人々に与え一人でお遍路の旅に出ました。しかし、空海には全然合うことができません。結局20回も四国を回りましたが会って謝罪することができませんでした。

 

そこで、21回目のお遍路は88番→1番という逆向きで回ることにしました。衛門三郎は、死にそうになりながら12番札所 焼山寺の近くまで来て休んでいると空海が現れて「あなたの悪い心は消えました。悪い行いも償い消えました」と言いました。

 

すると、衛門三郎はその場で息を引き取りました。空海は衛門三郎の亡骸を埋葬して形見である杖を墓標として立ててやったのです。その杖が成長して大きな杉の木になったため、この場所「杖杉庵(じょうしんあん)」と呼ぶのです。

 

残念ながら、この杉は江戸時代に消失したため現在は残っていません。杖杉庵には衛門三郎と空海が出会った場面の像が建てられています。

 

教訓

弘法大師の伝説は超常現象の言い伝えではなく、人が生きるうえでの教訓が込められています。

 

衛門三郎のように強欲で独り占めする人、困っている人を助けない人には、不幸なことが訪れるというメッセージが分かります。

 

何百年前もから伝わる教訓ですが、時代が進み環境が変化した現代でも当てはまります。人の心は昔から変わっていないのです。つまり、思いやりや良い人間関係が重要なのです。私が歩き遍路をしている時、お遍路さんから次のような話を聞きました。

 

Aさん
ラーメン屋を経営していて業績が振るわず困っていました。そんな時、親から莫大な遺産を相続したため店を閉めて仕事をせず、海外旅行に毎週のように行っていました。しかし、彼はこう言いました。「毎週、海外に旅行できるのはいいけど、何かむなしい」

 

Bさん
東北大震災で、家や会社は全て流されてしまった。でも、人とのつながりがあったから会社も再建で来て、震災の起こった2011年は赤字だったけれど翌2012年は過去最高の収益を記録した。

 

人が何を幸せと感じるか、それは十人十色です。しかし一人でいることは寂しいと感じる人が多いです。自分が死んだとき葬式を開いてくれる人もいない状況を考えると悲しくなります。人から信頼されたり、感謝されたり、認められたり、尊敬されたりしたいのであれば、人間関係が大切になります。

 

衛門三郎伝説では、困っている人を助け、独り占めしないという原則を改めて教えてくれました。

 

このような人間関係における原理原則は当たり前ですが、うまくできないこともあります。そういう状況を放置していると衛門三郎のように苦しみながら生きることになってしまうかもしれません。

 

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