勝者の自慢、敗者の言い訳
ギャンブルが好きな人と会話をするときは、勝った時の自慢と負けた時の言い訳がほとんどです。
ギャンブルで勝った人は、どれほど自分の考え方が正しかったかを力説してきます。一方、負けた人は、どれだけ自分が不運だったかを説明しています。
枠順が決まった時から、この馬が来ると思っていたよ。パドックを見て確信に変わった。血統、体重、ジョッキー、総合的に判断して鉄板だと考えていた。
今日は気分的に良いことが起こりそうだと思っていたよ。パチンコ店に入ると、前日のハマリ台を発見して、1000円で確変大当たりを引いた。
馬は良いコンディションなのに、ジョッキーが下手だった。また、スタートが遅れたのは他の馬が暴れていたからだ。ツイてないよ!「あと100m距離が長かったら…」「天気が晴れだったら…」
「激熱」とか「魚群」は何回も出るから、今日は良い台に座ったと思ったけど、全然当たらない。台が壊れている?それとも裏で大当りをキャンセルされている?「もう1000円使っていたら…」「あと30分早く来ていたら…」
小役確率から高設定は確実なのに、ボーナスがかみ合わない。高設定でも負けることがあるからしかたない。
自分がギャンブルの話をするとき、ギャンブル好きな人の話を聞くときは、90%以上このような話になるでしょう。そして、勝った時と負けた時の話には共通点があります。
それは、自分の判断は正しかった!ということです。
勝った時は自分の判断、予想の仕方が100%正しかったと自信満々です。負けた時も、自分の判断はあながち間違いではなかった。しかし、運が無かっただけ。
このように考えてしまいます。常にポジティブ思考を発揮していることが分かります。彼らは本気で自分の判断が正しかったと信じています。負けたのは他人の責任です。
ギャンブラーは負を認めることはありません。「惜しくも逃した勝ち」だと認識しています。
あと知恵バイアス
ギャンブラーによく見られる、勝った時の自慢と負けた時の言い訳は、あと知恵バイアスが関係していると言えます。
あと知恵バイアスとは、結果が分かった後で「やっぱり自分の予想は正しかった」と勘違いしてしまうことです。
「バイアス」とは偏った考え方や記憶、先入観という意味で使われます。つまり、結果を知ってあと知恵を得ることで、記憶が書き換えられてしまいます。
そのことを人間は無意識に行って、結果を知る前の記憶は忘れています。
馬券を買う前は適当に選んで、適当に買っていたかもしれません。しかし、その馬券が当たると、「直感が働いた」、「やはり来ると思った」という記憶に書き換えられます。
このようなあと知恵バイアスはギャンブラーに限ったことではありません。
入学試験や就職の面接でも、合格したときは「良くできた」と感じ、不合格なら「他の人がずっと優秀だった」と言います。結果が分かると同時に、自分の記憶も書き換えられます。
勝った記憶は長く残る
人の脳は良い思い出を長く記憶し、悪い思い出は忘れるような仕組みになっています。そして、良い思い出は実際に起こった事より過剰評価されます。
昔から獲物のしとめ方や、稲作の仕方など、うまくいった記憶を積み重ねることで人類は成長してきました。間違った時の記憶ばかり蓄積しても意味がありません。
そういう意味では、うまくいった時の記憶が長く残ることは重要です。
しかし、パチンコはどうでしょう?
大当たりの記憶ばかりが残って、負けを反省しなくなります。
是非、ギャンブル以外で良い思い出を作ってください。旅行、恋愛、家族、料理、育児、勉強、など。