南海トラフとは
四国の南の海域には南海トラフと呼ばれる巨大な溝があります。南海トラフは巨大な岩盤であるプレートが動くことによって形成しました。
地球上にはいくつかのプレートが存在し、その境界線ではプレート同士が衝突しています。プレートの衝突が地震や火山の一因となっているのです。
南海トラフはユーラシアプレートにフィリピン海プレートが沈み込むことによってできた水深4000m級の溝です。過去に何度も、この南海トラフという溝に沿って地震が発生しています。南海トラフで起きる地震が南海トラフ巨大地震です
実際に、南海トラフでは過去に起きた巨大地震の記録が残っています。また、四国の沿岸部には津波の到達を後世に残すために石碑が建っています。
四国の沿岸部は巨大地震と津波の被害を昔から受けてきた地域です。お遍路では四国の沿岸部を一周するように巡るので南海トラフ地震について十分理解する必要があります。

南海トラフ巨大地震の周期性

 

南海トラフ、地震、津波、過去

南海トラフ巨大地震には大きな特徴があります。それは周期性があるということです。
発生年が記録として残っている南海トラフ巨大地震は現在までに9回あります。その記録を見ると100~150年の周期で巨大地震が発生していることが分かります。
地震の発生回数を横軸、西暦を縦軸に取ることで周期性が一目瞭然です。前回発生した南海トラフ地震は1944年の昭和地震です。100~150年という周期を考えると次回は2044年~2094年という予想になります。
また、過去のデータから導かれた近似線から予測すると、次回の南海トラフは2187年と予測できます。南海トラフ巨大地震は必ず起こると思って事前に準備をする必要があります。

津波からの避難

高台へ避難
2011年3月11日に東日本大震災が発生しました。巨大な波の塊を前にして人間や防潮堤は全く無力となる様子を目の当たりにし、日本人は津波の恐ろしさを改めて知りました。
南海トラフ巨大地震が発生したときに津波が押し寄せる可能性は非常に高いです。実際に四国の沿岸部には過去の津波を記録した石碑が数多く残されています。
四国の沿岸部で地震に遭った場合、必ず津波が来ると考えて行動しなければなりません。もし地震に遭ったら標高の高いところ、津波避難ビルなどに避難します
避難と同時にラジオやスマホで情報収集を行ってください。津波の予想到達時間、波の高さなどを知ることで的確な場所に逃げることができます。
予想津波到達時間は地震の規模や発生地によって異なりますが、四国が大きく被災する場合は数分~20分で津波が到達すると予想されています。特に高知県は南海トラフに近く、津波が直撃するため地震後すぐに避難を開始すべきです。
リアス式海岸では津波は高くなる
東日本大震災では気仙沼市や女川町などのようにリアス式海岸で大きな被害が出ました。リアス式海岸は海岸線が複雑に入り組んだ地形で入り江が形成されています。
狭い入り江に大量の海水が流れ込むことで津波が高くなります。お遍路中は海岸付近を歩くことが多いですが、そこが入り江であれば、より高い所に避難しなければなりません。

生き延びるためには食料より水

ここで、地震や津波で被災した際に知っておくべき知識を紹介します。地震に遭った際は避難が最優先ですが、何を持って避難すればよいのでしょうか。
できることなら、食料、水、発電機、毛布、歯ブラシなどすべて持って行きたいですが、時間をかけていると津波に飲み込まれるかもしれません。
人間が生き延びるために最低限必要なものは水です。そのため、飲料水を持って避難することをお勧めします。できれば塩分も。
水分を一滴も摂らなければ5日も生きられない
人間の体で水の占める割合は約60%です。つまり、人間はほとんど水でできているということになります。しかし、尿や汗などから人は水分を失い続けています。そのため常に水分を摂取しなければなりません。
もし、水分を一滴も摂らなければ、ほとんどの人が5日と生きられません。そのため、必ず飲料水は確保しておきましょう。
逆に、十分に水を飲んでいれば絶食状態でも2~3週間は生きていられると言われています。なぜなら、人には飢餓状態に対応する能力が備わっているからです。
生体は飢餓に対応できる
人類の歴史の中で食料の確保が重要な問題でした。そのため、飢餓に強い遺伝子を持つ人類が自然淘汰されてきたと考えられています。
基本的に人間は食事によってエネルギーを供給していますが、絶食しても数週間は生き延びるように設計されています。
絶食をすると筋肉を構成するタンパク質や脂肪が分解されます。これによって脳や全身の細胞が必要とする糖質が作られます。筋肉や脂肪としてエネルギーが蓄えられているため飢餓を生き延びることができます。
逆に、たくさん食べて太ってしまうのは飢餓に備えて非常時のエネルギー源を脂肪という形で貯蔵しているので、仕方ありません。