大学生は時間がある

高校を卒業して大学に入ると自由時間が一気に増えます。何か新しいことを始めたいという気持ちになりますが、継続できる人は多くありません。
高校までは大学受験という目標に向かって一直線だったため集中して勉強することができました。受験を目前にしていた時期には毎日10時間の勉強をしていた人でさえ大学に合格すると同じ事を続けるのは難しくなります。
それは、勉強、サークル、バイト、遊び、恋愛、旅行などやりたことが溢れているため1つの事に集中できなくなるためです。これが時間のある大学生の特権による弊害です。
時間が増えるため、選択肢が増えて様々なことに興味を持ち、すべてが中途半端に終わってしまう危険性があります。
そのため、大学時代は何でもよいので継続することを意識してください。すると卒業するときに必ず自分の成長に気づくことができます。継続する内容は研究でも部活でも遊びでも何でもよいと思います。悪いのは中途半端になることです
仮に、遊ぶことに一生懸命になりたいのならそれでも大丈夫です。納得できるだけ遊んでください。中途半端な人には気づかないところに気づけるようになったり、卒業後に本気で仕事に打ち込めるようになったりします。
実は、優秀な人であるほど陰で継続して努力しています。読書をしたり勉強をしたりです。旅の途中に出会ったお遍路さんにも「若いうちにしっかり勉強しておけ」と言われることが何度かありました。
ちょこっと勉強するだけでは意味がありません。「少年老い易く学成り難し」と言いますが、継続し無ければ意味がありません。

諦めたらそこで終了

なぜ、継続することが重要なのか。お遍路の経験から分かったことがあります。
お遍路を1番札所から88番札所まで中断せずに巡る方法を「通し打ち」、途中で中断、帰宅しながら何度かに分けて88番まで巡る方法を「区切り打ち」と言います。
私は区切り打ちでお遍路をしました。私がお遍路を始めた初日に大学生お遍路さんに出会い、話をしました。すると彼は通し打ちでお遍路をすると言っていました。
それから1ヶ月半がたちました。私は22番札所で中断している時、彼は88番札所まで行き結願していたのです。
このとき、立ち止まったら大差がつくということを学びました。
お遍路はスピード勝負ではありませんが、お遍路は日常生活の多くの事柄に共通しています。勉強やスポーツ、仕事はまさに当てはまります。コツコツと長期的に続けてきた人は三日坊主で飽きてしまう人といつの間にか大差がついてしまうのです。

 なぜ三日坊主になるのか?

なぜ、三日坊主になるか。
それは、頭でわかっていても体で実行できるとは限らないからです。
長期的な利益と短期的な利益を比べた時に、長期的な利益が大切だということは誰しも分かっています。しかし、その通りに実行できる人は少ないのです。
例えば、次の場合どちらが欲しいか考えてみてください。
A)今日、10万円もらう
B)10年後、11万円もらう
どちらが欲しいか聞かれたら(A)と答える人が多いはずです。10万円と11万円を比較すると11万円が価値が高い事は小学生でもわかります。しかし、そこに感情が入り込むと感覚が狂ってしまいます。これが頭でわかっていても体で実行できない事の一因です。
特に、人間は長期的な事を考えることが苦手です。ダイエットをすると決めても目の前にあるケーキを食べてしまいます。ギャンブルで負けると分かっていても一瞬の快楽を手に入れたいためにお金をつぎ込んでしまいます。誘惑に負けてしまうのです。

歩きお遍路は誘惑を断ち切るきっかけになる

歩き遍路の旅は全行程約1400km、40日前後の日程を必要とします。1400kmを考えると東京から鹿児島まで本州経由で行く場合の距離に相当します。
今の時代に東京から鹿児島まで歩いていく人はほとんどいないでしょう。しかし、同じ1400kmの四国、お遍路には毎年数千人が歩いています。
実は、お遍路には継続するモチベーションを保つ仕組みが組み込まれているのです。例えば、88ヶ所の札所はチェックポイントのようになっています。長期的なゴールを意識するより次の寺を目標として短く頑張る方が効率よくモチベーションを持続できるのです。
御朱印をもらうことや一緒に巡る人と出会えることも効いています。また、結願するととは大きな自信となるため他の事にも応用できるようになります。「1400kmを諦めずに歩いた自分にはできるはず!」と思えるようになるのです。