お遍路でフロー状態に入る

我慢は有限

ギャンブルに行きたいという衝動を理性で押さえつけることは相当量のエネルギーが必要となります。我慢や忍耐を行った後は疲れてしまいます。疲れた時はモチベーションが下がり誘惑されやすい状態になってしまいます。
このモチベーションが下がった時を狙って、ギャンブルはあなたを誘います。そのため、ギャンブルを辞めて1週間ほどすると再びギャンブルにハマっているという状況を繰り返すことになります。
これは、あなたの脳が正常だという証拠です。人間の脳は長時間にわたって意志の力を作用することは得意ではありません。長時間の我慢を行う時は疲労感と嫌悪感が増えていきます。
我慢によるストレスがリミットを超えると、衝動を抑え込んでいた理性が消えてしまいます。我慢ができなくなるということです。我慢には量があり、無限に存在するものではありません。ある所で底を尽きてしまうのです。
つまり、ギャンブルに対して真正面から辞めようと向かい合っても、それは難しいということになります。一生にわたって辛い努力をすることはできないのです。

フロー状態

真正面からギャンブルに向かい合っても精神的に負けてしまうことは目に見えています。そこで、別の方法を考えなければなりません。
人間の我慢にはリミットがあり、我慢をすることは苦痛です。しかし、我慢をせずに長時間の努力をすることもできます。
全く努力をしなくても極度に集中でき、時が経つのも、自分自身の事も、様々な問題事もすべて忘れてしまう状態を心理学の用語でフロー状態と呼びます。
フロー状態は何かに熱中しているときに起こります。
作家や漫画家は休憩もせずに10時間以上も作品作りに没頭するという人が多くいます。食事を忘れてしまうこともあります。彼らはフロー状態に入っているため、空腹を全く我慢することなく、むしろ気づかずに作業に集中しています。
普通、空腹を我慢することは辛いため相当なエネルギーを使います。何もない部屋の中に閉じ込められて10時間食事を我慢することがどれだけ苦痛か簡単に想像できます。しかし、フロー状態ではそれが例外となります。
ギャンブルを辞めたい人が別の事に熱中してフロー状態に入ったとすると、その時は自分がギャンブルに悩んでいるということを忘れてしまっています。つまり、ギャンブル以外の事に「没頭」しているのです。

お遍路でフロー状態になる

ギャンブルを辞めるためにはフロー状態に入ることが効果的だと言えます。別の事に没頭してギャンブルについて悩んだり我慢したりすることを忘れることができるからです。
しかし、今までギャンブルにのめり込んでいた人が、他に熱中できる趣味を持っているとは限りません。ギャンブルが切り離されたことで寂しく感じるかもしれません。
そこで、歩き遍路をおススメします。
お遍路とは弘法大師に縁が深い四国の寺院を巡る旅です。四国を一周するように88か所の寺院を巡りますが、全行程約1200kmを歩いて行くことを歩き遍路と呼びます。
歩き遍路は平均して40日前後の日程が必要となる過酷な旅です。しかし、得られるものは多いため平安時代から1200年も続いています。
歩き遍路の道中は、ギャンブルの事を考える余裕はありません。次の寺までの距離、地図、その日の宿の予約、時間、食事、足や肩の痛さ、水分補給とトイレ、等を考えなければならないのです。
さらに、歩くというリズム運動をすることで簡単にフロー状態に入ることができます。

 煩悩を消す苦行

現在のお遍路は、道が整備され宿泊施設も用意されているため比較的簡単に巡ることができます。しかし、平安時代は状況が全く違います。
そもそも、四国は本州との間に瀬戸内海があり橋はかかっていません。僻地の四国は人口が少なく、宿は充実していませんでした。コンビニや自販機は当然ありません。つまり、お遍路は山中を巡る苦行の旅でもあったのです。
修行僧は自らの煩悩を消すために苦行をします。なぜ苦行をするか、それはフロー状態に入ることで煩悩を忘れることができるためです。
お経を読むことや坐禅を組むことも同じように、ある事に集中することで別の事を忘れることを目指しているのです。苦行を何度も繰り返し、常にフロー状態に入ることができれば完全に煩悩が消え悟りという状態に至るのです。
昔の人が煩悩を無くすために試行錯誤して編み出された方法の一つがお遍路なのです。ギャンブルという煩悩を捨てたいのであれば、四国は最適な環境です。