マダニ媒介性感染症に重症熱性血小板減少症(SFTS)があります。つまり、マダニが運ぶウイルスによって発症する感染症です。

死亡率

2013年1月に国内での感染が報告された新しい感染症で治療法や有効な薬剤、ワクチンが無いため致死率は6.3~30%と報告されています。
2016年1月6日現在、日本では169人がSFTSの感染が報告され、そのうち死亡例が45件となっています。つまり日本における死亡率はこれまでの所26%となっています。

地域と季節

日本におけるSTFSの感染には地域差があります。西日本での報告が多く、四国では報告件数が多く注意が必要となっています。
ほとんどの場合SFTSはマダニによって媒介されるためマダニの活動時期である春から秋にかけて感染が増加します。

潜伏期間と症状

病原体が体に侵入しても症状が出るまでに時間がかかることがあります。これを潜伏期と呼び、この間にSFTSウイルスは体内で増殖しています。SFTSウイルスの潜伏期間はマダニに咬まれてから6日~2週間です。
体内でSFTSウイルスが十分に増殖すると次のような症状となって現れます。
▽多い症状
・発熱
・消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)
▽その他の症状
・頭痛
・筋肉痛
・意識障害や失語などの神経症状
・リンパ節腫脹
・皮下出血や下血などの出血症状

必ずしも感染するとは限らない

農作業をしたことがある方はマダニに咬まれた経験があるかもしれません。しかし、マダニに咬まれてからと言って100%SFTSに感染するとは限らないのです。
感染が成立するためにはマダニがSFTSウイルスを持っているか否か、感染者の体質など様々な要因があります。

対策

ダニにかまれない対策

対策としてはマダニに咬まれないことが最も重要です。肌の露出を控えて草むらを避けましょう。お遍路道は比較的整備されているところが多いですが、草木が生い茂る夏場は気を付けなければなりません。
肌の露出を避けるときはお遍路衣装が便利です。白色であるためダニの付着に気が付きやすいです。通気性があり日よけにもなるため歩き遍路では必須アイテムです。
マダニは布団やカーペットに住むようなダニとは種類が異なり、草むらなどで良くみられる大型のダニです。マダニは肉眼で見えるほどの大きさなのでお風呂に入った時に咬まれていないか確認しましょう。吸血することでマダニは膨れて2cm程まで大きくなります。

 マダニに咬まれていることを発見したら

自分で取り除かないでください
マダニは皮膚にしっかりと咬みついているため無理に除去すると頭の部分が皮膚に残ったままになる可能性があります。また、ダニの体を押すとダニの体液が侵入する可能性もあり危険です。
そこで皮膚科などの医療機関で対処しましょう。SFTSには潜伏期間があるためダニに咬まれた直後は健康であっても数週間は体調の変化に気を付けましょう。

体調が悪くなったら

医療機関を受診してマダニにかまれた可能性があることを医師に伝えましょう
リンク
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について(厚生労働省)