チーム医療がなぜ必要か:相乗効果を発揮する
チーム医療とは
最近の医療現場ではチーム医療が当たり前となっています。チーム医療とは、一人の患者さんに医師、看護師、薬剤師、歯科医師、放射線技師など複数の医療スタッフが関わり、最善の治療を行うことです。
では、チーム医療を行うメリットとして何があるのでしょうか。それは、チームとして活動することで最高のパフォーマンスを行うことができ、患者さんを安心させることができます。
チーム医療でない場合を考えてみます。医師が一人で診断して治療をするとき、切除以外にも放射線療法や薬物療法、食事療法などの選択肢はありますが、医師の得意な外科手術が絶対良いと薦められるかもしれません。独裁政治と言っても良いかもしれません。
しかし、複数の専門家が集まることで、一人の医師では見えなかった全く別の解決方法が創造されることになるのです。
このように、1+1=3以上の結果になるような現象は相乗効果またはシナジーと呼ばれます。三人寄れば文殊の知恵とも言えます。(1+1+1=∞)
相乗効果(シナジー)は人間のみが成せる最高の成果の出し方と言えるでしょう。
相乗効果(シナジー)を発揮するためには多様性が必要
チームを作ることによって、各個人で行う分の何百倍もの成果を出すためには多様性(ダイバーシティ)が必要となってきます。
例えば、チーム医療と言っても、同じ大学卒の同級生の男性外科医を10人集めたところで一人の患者さんに対して最高の医療は行えるでしょうか?
薬剤師や管理栄養士など様々なジャンルを得意とする人、異なる年齢や性別の人が集まることでチームのパワーは膨れ上がります。また、違いがあるということは、それだけ学びの機会が増え自分の世界を広げることができます。
しかし、チームを作っても相乗効果(シナジー)を作れない人がいます。例えば、会議でケンカのように意見を交わす光景を見たことがあると思います。その会議の結果は圧倒的に低レベルなものになってしまいます。
どちらかの案を採用するという二者択一の考えではチームを作っていても、一人で考えているのと同じことになります。チームで全く新たな案(第三の案)を作ることに意味があるのです。
コミュニケーションが最も重要
相乗効果(シナジー)を生み出すためには、多ジャンルの人を集めるだけでは不十分です。そこにコミュニケーションを仲介させることによって初めて相乗効果が可能となるのです。
チーム内で最も陥りやすいミスは、自分だけが正しいと思うことです。すると、チームや会議で考えの違いからケンカのように話が進展しなくなります。
真のコミュニケーションとは何か。それは、人は皆違うということを呑み込み、認め合うということです。つまり、意見の衝突のように対峙するのではなく、問題に向かって同じ方向を向かなければならないのです。
そのためには、話し合いの中で怒りを表現したり、相手を操ろうとしたりせず、信頼関係を築くことから始めます。相手の世界、価値観、感情を理解し、自分の世界と組み合わせることで、初めて新たな案が生まれるのです。
つまり、真のコミュニケーションを行うためには成熟した人格が求められます。自分の意見を通しすぎる人、何でも相手に賛成するイエスマン、会議やカンファレンスを勝負だと思っている人は未熟だということです。
自分の考えをしっかり持ちながら、相手の意見も深く理解しようとし、互いの良い部分を抽出することが求められます。